愛知県の公式発表で特に注目したいのは、定点あたり報告数だけでなく、医療機関から報告された患者の総数と入院患者数です。
愛知県が2026年10月29日に更新した「新型コロナウイルス感染症の状況(週報)」では、第43週の県内データとして、次の数値が公表されています。
定点あたり報告数0.72人

163定点・県内合計
定点医療機関の総報告数117人
1週間の報告人数
入院患者の総報告数8人
15定点医療機関
対象期間10/19~25
2026年第43週
出典:愛知県「新型コロナウイルス感染者の状況について」第43週資料
※117人は定点医療機関からの報告数であり、県内の全感染者数ではありません。入院患者8人も15か所の指定医療機関からの報告です。
第43週に報告された117人は、県内163か所の定点医療機関から集められた患者報告の合計です。これを愛知県全体の感染者数と解釈することはできません。
一方、定点あたり0.72人という数字は、指定医療機関から集まった報告数を定点数で割った指標です。医療機関の規模や受診者数が異なる地域を比較する際にも使われます。
入院患者数についても同様です。8人という数字は、県内全病院の入院患者を網羅したものではなく、入院患者の動向を把握するために選ばれた15か所の医療機関からの報告です。
したがって、第43週の数字から読み取れるのは、指定医療機関における感染症報告と入院報告が比較的少ない水準にあるということです。感染者がゼロになったわけでも、重症化する人がいなくなったわけでもありません。
【過去5週で何が変わった?】愛知県の感染状況の推移と名古屋市を比較
現在の感染状況を判断するには、単独の週の数字だけでなく、直前の週からどのように変化したかを見る必要があります。
愛知県の第39週から第43週までの公式資料を比較すると、定点あたり報告数と入院患者数はともに減少しています。
出典:愛知県の各週報。各週の数値は集計時点の速報値です。
出典:愛知県感染症対策課、名古屋市感染症情報センター。名古屋市の数値は市内の定点医療機関による報告です。
1. 県全体の定点あたり報告数は低下している
第39週の2.11人から第43週の0.72人へと減少しました。約66%の低下です。第40週、第41週、第42週と続けて減少し、第43週も前週を下回っています。
2. 入院患者数も減少傾向にある
入院患者の報告数は、第39週の26人から第43週の8人になりました。指定された15医療機関における報告数が減っていることは、感染者数だけでは見えない医療面の動向を確認する材料になります。
3. 名古屋市も県全体と同じ方向に動いている
名古屋市の定点あたり報告数は、第39週の1.72人から第43週の0.64人へ低下しました。第42週の0.90人からも減少しています。
県全体の0.72人と名古屋市の0.64人との差は0.08人です。少なくとも第43週の数値では、名古屋市だけが突出して高い状況は確認できません。
ただし、定点報告は週ごとの速報値です。医療機関からの追加報告や訂正によって、後から数字が変わる場合もあります。直近の一週だけでなく、数週間の推移を追うことが大切です。
【県内でも地域差がある】名古屋市・豊田市・豊川市の感染状況
愛知県全体の0.72人という数字だけでは、県内各地域の状況を十分に把握できません。
第43週の県公式資料を保健所等の区分で確認すると、地域によって定点あたり報告数に違いが見られます。
- 豊川:1.43人(10人/7定点)
- 豊田市:1.33人(12人/9定点)
- 江南:1.33人(8人/6定点)
- 名古屋市:0.64人(32人/50定点)
- 岡崎市:0.22人(2人/9定点)
- 一宮市:0.44人(4人/9定点)
この比較で注意したいのは、定点数が地域によって異なる点です。例えば豊川は7定点、名古屋市は50定点です。報告人数が少ない地域では、数人の増減によって定点あたりの数字が大きく動く可能性があります。
そのため、豊川や豊田市の数値が県平均を上回っているからといって、その地域全体で大規模な感染拡大が起きていると断定することはできません。
名古屋市の感染状況はどこで確認できる?名古屋市は、市公式ウェブサイトの「5類感染症(定点把握)の発生状況」で、新型コロナウイルス感染症の定点あたり報告数を公開しています。
第43週の0.64人だけでなく、第36週以降の数値や区別・年齢階級別の患者報告数も掲載されています。市内の感染状況をより細かく知りたい場合には、県全体の週報と合わせて確認すると実態をつかみやすくなります。
名古屋市の週報は、医療機関や保健センターからの訂正報告によって掲載後に内容が変更される場合もあります。
【感染者数の読み方】新型コロナは5類移行後、定点把握に変更
2026年の愛知県の感染状況を理解するうえで欠かせないのが、2023年5月に実施された感染症法上の位置付けの変更です。
新型コロナウイルス感染症は、2023年5月8日に5類感染症へ移行しました。これに伴い、感染者の発生動向を把握する方法も変更されています。
全数把握から定点把握への変更5類移行前は、医療機関で新型コロナウイルス感染症と診断された患者について、原則として全数を保健所に報告する仕組みでした。
一方、5類移行後は、都道府県が指定する定点医療機関から週単位で患者報告を集め、地域の発生動向を把握する仕組みに変わりました。
この変更によって、以前のように毎日の感染者総数を県内の全医療機関から集計する方式ではなくなっています。
岡崎市公式サイトでも、2023年5月7日以前と5月8日以降の把握方法の違いが説明されています。厚生労働省も定点医療機関による週単位の報告を感染症の発生動向調査として位置付けています。
2026年の感染者数を見るときの注意点現在の数字を読む際には、次の3点を押さえておく必要があります。
第一に、定点報告数は県内の全感染者数ではないこと。117人という報告数は、163の指定医療機関から集まった数字です。実際に県内で感染した人の総数とは異なります。
第二に、定点あたり報告数は患者の絶対数ではないこと。0.72人という数値は、1医療機関あたりの平均的な報告数を示します。人口10万人あたりの感染者数や、県民全体の感染確率を表すものではありません。
第三に、入院患者数も全病院の総数とは限らないこと。愛知県の週報では15か所の定点医療機関から入院患者の報告を集めています。
なお、全国の推移を調べる際にも注意が必要です。厚生労働省によると、2025年第15週以降は急性呼吸器感染症サーベイランスの開始に伴って定点医療機関の設置基準が変更されています。過去の数値と単純に比較すると、調査体制の違いを見落とす可能性があります。
愛知県衛生研究所の週報も確認する愛知県衛生研究所は、感染症情報センターを通じて感染症情報の週報を公開しています。
2026年第43週の資料も掲載されており、新型コロナウイルス感染症だけでなく、インフルエンザやRSウイルス感染症など、ほかの感染症の発生状況を確認する際にも役立ちます。
感染症情報のPDF資料に加え、患者報告数のExcelデータも公開されています。保健所別や年齢層別の動向を詳しく調べたい場合には、こうした資料も参考になります。
【症状が出たらどうする?】2026年の主な症状と愛知県の受診相談窓口
愛知県の感染者報告数が低下していても、発熱や咳などの症状が出た場合には注意が必要です。
厚生労働省が公表している新型コロナウイルス感染症の基本情報では、主な症状として発熱、咳、全身倦怠感が挙げられています。そのほか、頭痛、下痢、結膜炎、嗅覚障害、味覚障害などが現れる場合もあります。
2026年に確認しておきたい主な症状
発熱
熱が出る、体温が上がるなどの症状。
咳・呼吸器症状
咳や喉の不調などが見られる場合がある。
全身倦怠感
強い疲労感や体のだるさ。
頭痛・嗅覚や味覚の異常
頭痛や、におい・味を感じにくくなる症状。
消化器症状など
下痢や結膜炎などが現れる場合もある。
症状の現れ方には個人差があります。発熱がないから新型コロナではない、喉の痛みだけだから感染していない、と判断することはできません。
また、2026年の新型コロナウイルスについて、症状だけで感染の有無やウイルスの種類を特定することは困難です。必要に応じて検査や医師の診察を受けることが大切です。
高齢者や基礎疾患のある人は早めに相談厚生労働省は、乳幼児、高齢者、一定の基礎疾患がある人などについて、重症化リスクに注意するよう案内しています。
特に次のような人は、軽い症状であっても早めに医療機関へ相談することが大切です。
- 65歳以上の高齢者
- 糖尿病や心不全などの基礎疾患がある人
- 慢性呼吸器疾患がある人
- 透析を受けている人
- 免疫抑制剤や抗がん剤などを使用している人
- 妊娠中の人や小さな子ども
息苦しさ、強い倦怠感、高熱などの症状がある場合や、急激に体調が悪化した場合には、速やかに医療機関へ相談してください。緊急性の高い症状では救急対応が必要です。
愛知県の新型コロナ受診・相談窓口はどうなっている?ここは過去の情報と現在の制度を混同しやすい部分です。
新型コロナの流行初期から5類移行直後にかけて設置されていた専用の受診・相談窓口は、愛知県では2024年3月31日をもって終了しました。2024年4月以降は通常の医療提供体制へ移行しています。
そのため、2026年現在、発熱や咳などの症状が出た場合は、まずはかかりつけ医や最寄りの医療機関に電話で相談するのが基本です。
受診する際には、事前に症状や検査結果を伝え、医療機関の案内に従ってください。連絡せずに直接受診することは、緊急の場合を除いて避けるよう厚生労働省も案内しています。
2026年の受診手順
症状を確認する
発熱、咳、倦怠感、呼吸状態などを確認する。
必要に応じて検査する
国が承認した抗原定性検査キットなどでセルフチェックする方法もある。
医療機関へ電話する
かかりつけ医や最寄りの診療可能な医療機関に相談する。
案内に従って受診する
受診方法や検査の必要性について医療機関の指示を確認する。
参考:愛知県の2024年4月以降の対応、厚生労働省の受診案内。
【プロの結論】愛知県の感染予防対策は報告数が低いときも続けたい
第43週の定点あたり報告数0.72人、入院患者数8人という結果からは、愛知県内の新型コロナウイルス感染症の報告動向が、9月下旬から10月上旬に比べて落ち着いてきたことが読み取れます。
しかし、感染症対策を一律に緩めてよいという意味ではありません。新型コロナは発症前から感染性を持つ場合があり、症状がない人から感染が広がることもあります。
2026年に実践したい感染予防対策
1. 室内の換気を意識する
人が集まる室内では、窓や換気設備を利用して空気を入れ替える。
2. 必要な場面でマスクを着用する
咳やくしゃみなどの症状があるときや、高齢者など重症化リスクの高い人と接するときは特に配慮する。
3. 手洗いを習慣にする
外出後や食事前など、適切なタイミングで手洗い・手指消毒を行う。
4. 体調不良時は無理をしない
発熱や咳などがある場合は外出を控え、周囲への感染を防ぐ。
厚生労働省は、陽性となった人について、発症日を0日目として発症後5日間は外出を控えることを推奨しています。
5日目にも症状が続いている場合は、熱が下がり、痰や喉の痛みなどが軽快してから24時間程度が経過するまで、外出を控えて様子を見ることが推奨されています。
また、発症後10日間は周囲への感染リスクが残る可能性があるため、マスクの着用など、周囲への配慮も大切です。これは法律による一律の外出禁止ではなく、他人への感染を防ぐための推奨事項です。
感染状況を判断するためのチェックポイント今後、愛知県内の新型コロナ感染状況を確認する際は、次の情報を組み合わせると、単純な感染者数の増減よりも正確な判断ができます。
- 定点あたり報告数:感染症の発生動向を把握する基本指標。
- 入院患者数:医療機関への負荷や重症化動向を確認する材料。
- 地域別報告数:名古屋市、豊田市、豊川市などの地域差を確認。
- 週ごとの推移:一時的な増減なのか、継続的な上昇なのかを見極める。
- 年齢階級別の情報:子どもや高齢者など、年代ごとの患者動向を確認する。
特に、定点報告数が減っている一方で入院患者数が増えていないか、あるいは特定の地域で報告数が上昇していないかという点は、今後の感染状況を追ううえで重要です。
2026年11月3日時点では、第43週の県公式データは減少傾向を示しています。次回以降の週報でこの傾向が続くかどうかを確認することが、愛知県の感染状況を判断するうえでのポイントになります。
【新型コロナウイルス感染症の愛知県内の状況】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年の愛知県の新型コロナ感染者数は何人ですか?
A1:2026年第43週(10月19日~25日)は、定点医療機関163か所から117人の報告がありました。定点あたり報告数は0.72人です。ただし、117人は県内の全感染者数ではありません。
Q2:愛知県の新型コロナ入院患者数は何人ですか?
A2:第43週の入院患者の総報告数は8人です。15か所の定点医療機関から報告された数値であり、県内全病院の入院患者総数とは異なります。
Q3:名古屋市の新型コロナ感染状況はどうなっていますか?
A3:2026年第43週の名古屋市の定点あたり報告数は0.64人です。前週の0.90人から減少しています。
Q4:新型コロナの感染者数は毎日発表されていますか?
A4:現在は定点医療機関による週単位の報告が基本です。愛知県は感染症対策課の週報や愛知県衛生研究所の感染症情報で最新の発生動向を公開しています。
Q5:愛知県の新型コロナ専用相談窓口は現在もありますか?
A5:以前の新型コロナ専用の受診・相談窓口は2024年3月31日に終了しました。2026年現在は、発熱や咳などの症状がある場合、かかりつけ医や最寄りの医療機関へ電話で相談するのが基本です。
Q6:新型コロナの主な症状は何ですか?
A6:発熱、咳、全身倦怠感のほか、頭痛、下痢、嗅覚・味覚障害などがあります。症状だけで感染の有無を判断することはできません。高齢者や基礎疾患のある人は早めの受診相談が推奨されます。
2026年11月3日時点で確認できる愛知県の最新公式データは、第43週(10月19日~25日)の報告です。定点あたり報告数は0.72人、定点医療機関からの総報告数は117人、入院患者の総報告数は8人でした。
過去週と比較すると、定点あたり報告数は第39週の2.11人から第43週の0.72人へ減少し、入院患者数も26人から8人へ減っています。名古屋市についても同じ期間に報告数が減少しており、県全体と同様の動きが確認できます。
ただし、現在の統計は5類感染症としての定点把握に基づくものであり、県内の感染者全員を数えたものではありません。地域差や医療機関の報告数、入院動向を合わせて見る必要があります。
今後も確認したい情報は、愛知県感染症対策課の週報、愛知県衛生研究所の感染症情報、名古屋市の感染症発生動向調査です。感染者数の低下だけで安心せず、換気、手洗い、必要な場面でのマスク着用、体調不良時の受診相談を続けることが、自分と周囲の健康を守る現実的な対策です。
新型コロナウイルスの感染状況は週ごとに変わります。第43週の減少傾向が次の週以降も続くのか、入院患者数に変化がないかを確認することが、2026年秋から冬にかけての重要なチェックポイントです。