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【利用者が確認したい】スキー場の安全対策と死亡事故の再発防止策

椿 花鈴 椿 花鈴 • 更新: • 公開: • 読了約 11 分
目次

設備の安全性を高める責任は運営者側にある。一方、利用者も自分の行動によって防げる事故がある。スキー場を訪れる前と滑走中に確認したいポイントを整理する。

スキー場運営者に求められる6つの対策





1. 移動設備への常時監視員配置

取扱説明書に従い、必要な場所に監視員を配置。利用者の転倒や巻き込みを早期に発見できる体制を整える。




2. 非常停止装置の定期的な作動確認

自動停止機能と手動停止ボタンの両方を点検し、異常を発見した場合は運転を停止する。




3. 巻き込み口の構造改善

衣服や手足が引き込まれにくい構造、危険部分への接触防止、転倒時の安全性を検証する。




4. 子ども・初心者への監視強化

子どもが集中するエリアでは、保護者任せにせず、スタッフによる案内と見守りを充実させる。




5. 境界ロープ・防護ネットの安全点検

滑走者からの見えやすさ、設置位置、接触時の危険性を確認し、危険箇所には十分な警告を設ける。




6. 救助訓練と事故情報の共有

スタッフの停止操作、救急対応、事故記録の管理を徹底し、他施設で起きた事故も自施設の安全対策に反映する。


つがいけマウンテンリゾートが2026年に実施した対策は、このうち複数を具体化したものだ。監視員の増員、検出装置の増設、装備品の持ち方の変更など、設備と人員の両面から安全性を改善している。

スキー場を利用する前に確認したいこと

利用者が確認できる安全対策にも注目したい。特に小さな子どもや初心者を連れて行く場合、移動設備の使い方や監視体制は事前に確認しておきたい項目だ。


利用前のチェックリスト
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利用者自身が守りたい滑走ルール

ベルトコンベア式移動設備

- 子どもを一人で乗せず、保護者が近くで見守る。
- 滑りやすい乗降口では急いで移動しない。
- 巻き込み口や可動部分に手足を近づけない。
- 異常や不審な動きを感じたら利用を中止し、スタッフに知らせる。
- 監視体制や安全性に疑問があれば、別の移動経路を選ぶ。

リフト

- リュックサックのベルトや衣服のひもを垂らさない。
- 乗車前にバックルやストラップを確認する。
- 施設が指定する方法に従い、バックパックを身体の前に抱えるなどの対策を取る。
- 降車時には慌てず、係員の案内に従う。

ゲレンデでの衝突防止

- 前を滑っている人を優先する。
- 前方の利用者との距離を十分に確保する。
- 技術や視界、混雑状況に応じて速度を落とす。
- コースの合流地点や狭い場所では特に注意する。
- コースの中央で立ち止まらず、休憩するときは端に移動する。

これらは国際スキー連盟(FIS)の行動規則や全国スキー安全対策協議会の安全指針にも通じる基本事項だ。

スキー場の管理責任はどこまで問われるのか

スキー場で死亡事故が起きた場合、運営者の責任は設備の所有者であるかどうかだけで判断されるものではない。

具体的には、危険を予見できたか、事故を防ぐ措置を講じていたか、設備の点検が適切だったか、取扱説明書や安全手順を守っていたか、異常発生時に適切な対応を取れたかなどが検証の対象になる。

朝里川温泉スキー場では、事故以前の転倒や巻き込みに関する指摘、監視員の配置状況、非常停止装置の作動状況などが捜査・調査の論点となった。警察の家宅捜索は業務上過失致死の疑いに基づく捜査であり、それ自体が刑事責任の確定を意味するものではない。

今後は、個々の施設の管理責任だけでなく、スキー場に設置される移動設備に共通する安全基準をどう整備するかも重要な課題になる。

【プロの結論】2026年のスキー場死亡事故が示した本当の問題

スキー場死亡事故

2026年の事故を検証すると、死亡事故の原因は一つではないことが分かる。

朝里川温泉スキー場では、ベルトコンベア式移動設備の設計・監視・停止機能が問題となった。ニセコでは境界ロープとの接触、つがいけマウンテンリゾートではバックパックの引っ掛かり、志賀高原や丸沼高原では利用者同士の衝突が死亡事故につながった。

これらをすべて同じ原因で説明することはできない。しかし、安全対策を設備の設置や注意書きだけで終わらせてはいけないという点は共通している。

特に重要なのは、次の3点だ。



設備の安全性は、実際の使用環境で評価する。

雪や氷、スキー靴、装備品など、スキー場ならではの条件を考慮し、設計段階から巻き込みや転倒のリスクを減らす。


安全装置と人的監視を組み合わせる。

自動停止装置が正常に作動することに加え、異常を発見して即座に対応できるスタッフを配置する。


事故情報を施設間で共有し、安全基準を整える。

一つの施設で起きた事故を他のスキー場も教訓とし、設備の取扱説明書、点検方法、監視体制を改善する。

2026年6月の国土交通省調査は、372事業者・248基という具体的な数字によって、搬送設備の安全管理が全国的な課題であることを明らかにした。加えて、つがいけマウンテンリゾートの8月の最終報告は、事故後の対策が監視員の増員や設備改良にまで進んだことを示している。

今後の焦点は、消費者安全調査委員会による最終報告と、国土交通省をはじめとする関係機関がどのような共通ルールを整備するかだ。

スキー場の安全は、利用者の注意だけに委ねられるものではない。安心して楽しめる環境をつくるには、運営者、設備メーカー、行政、利用者がそれぞれの役割を果たす必要がある。

【スキー場死亡事故】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:2026年に朝里川温泉スキー場で何が起きた?

A1:2025年12月28日、北海道小樽市の朝里川温泉スキー場で、5歳男児がベルトコンベア式の移動設備に右腕と衣服を巻き込まれ、窒息死した。事故当時の監視員不在や非常停止機能の問題が調査対象となっている。

Q2:国土交通省の372事業者・248基の調査とは?

A2:2026年6月17日に公表された、スキー場のベルトコンベア式移動設備に関する全国調査だ。372事業者すべてから回答があり、同種設備248基のうち247基で監視員が仕様上必要とされていた。常時監視員を配置している設備は230基だった。

Q3:朝里川温泉スキー場の事故原因は確定した?

A3:2026年11月3日時点で、消費者安全調査委員会の調査は継続中であり、最終的な原因は公表されていない。設備の設計、非常停止装置、監視員の配置、点検方法などが調査対象となっている。

Q4:つがいけマウンテンリゾートのリフト事故はなぜ起きた?

A4:公式発表によると、利用者のバックパックの腰ベルトのバックルがリフトの搬器に挟まり、胸部ベルトが装着されていたため身体から外れず、降車後に引きずられた。女性は搬送後に死亡した。運営会社は監視員の増員や検出装置の増設などの対策を実施している。

Q5:スキー場の境界ロープは危険なの?

A5:立入禁止区域を示すために必要な設備だが、滑走中に接触すれば重大な事故につながる可能性がある。2026年1月にはニセコで17歳男性が境界ロープに首を圧迫されて死亡した。利用者はロープを越えず、施設側も視認性や設置位置を含めて安全性を検証する必要がある。

Q6:スキーとスノーボードの衝突事故はどちらが危険?

A6:用具だけで危険性を一律に比較することはできない。全国スキー安全対策協議会の2023/2024シーズン調査では、人との衝突による負傷割合はスキー14.5%、スノーボード9.9%だった。ただし、これは46スキー場の2024年2月の負傷データであり、死亡事故率の比較ではない。

Q7:死亡事故を防ぐために利用者ができることは?

A7:自分の技術に合ったコースを選び、速度を出しすぎず、前方の滑走者との距離を保つことが基本だ。リフトではバックパックのストラップを整理し、ベルトコンベアでは巻き込み口に近づかない。閉鎖区域や境界ロープの先には立ち入らないことも重要だ。

2026年のスキー場死亡事故は、搬送設備の安全性、リフトの監視体制、境界ロープの設置方法、滑走者同士の衝突防止など、複数の課題を浮き彫りにした。

なかでも朝里川温泉スキー場の事故を受けた国土交通省の全国調査は、372事業者・248基という具体的な実態を示し、設備の取扱説明書と監視員配置の重要性を明確にした。

今後、消費者安全調査委員会の調査結果や行政の安全対策がどのように具体化されるかが注目される。

スキー場を選ぶ際は、コース数やリフト料金、雪質だけでなく、監視体制、設備の安全対策、事故発生時の対応にも目を向けたい。安全対策が具体的に公開され、設備と人員の両面から管理されていることこそ、安心して冬のレジャーを楽しむための重要な判断材料になる。

楽しいスキー・スノーボードを守るのは、利用者の注意と、事故を未然に防ぐスキー場の安全管理の両方である。

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