横浜外国人墓地の歴史は、1854年(嘉永7年・安政元年)にペリー艦隊が再来航した幕末までさかのぼります。
当時、日本は長く続いた鎖国体制から転換する時期にあり、アメリカとの外交交渉が進められていました。その過程で、横浜沖に停泊していたアメリカ軍艦ミシシッピ号の乗組員、ロバート・ウィリアムスが死亡します。
ペリーは水兵の埋葬場所を幕府に求め、横浜村にあった増徳院の墓地が埋葬地として提供されました。これが横浜外国人墓地の起源とされています。
ただし、歴史上の重要な注意点があります。ウィリアムスの遺体は、その後、下田の玉泉寺に設けられた外国人墓地へ改葬されました。したがって、現在の横浜外国人墓地にウィリアムス本人の墓が残っているという意味ではありません。
外国人専用墓地として整備されたのは1861年1859年に横浜が開港すると、外国人の居住者が増え、外国人の埋葬場所も必要になりました。
開港直後には外国人を狙った殺傷事件も発生し、その犠牲者が埋葬されるようになります。
1861年(文久元年)には、日本人墓地と外国人墓地の区画が整理され、外国人のための墓地として正式に整備されました。
横浜開港資料館の歴史解説や、横浜の歴史研究者が参加した有隣堂の座談会でも、この形成過程が紹介されています。
約40か国・約5,000人が眠る歴史的な場所現在の横浜外国人墓地には、40数か国に及ぶ外国人約5,000人が眠っています。
敷地は約1万8,500平方メートル。横浜市開港資料館の解説では、墓の数は約4,500基と紹介されています。
人数と墓の数は集計対象が異なるため、数字を同一視しないことが大切です。
ここに眠るのは外交官や商人だけではありません。日本の鉄道、ビール産業、芸術、教育、通信などの発展に関わった技術者や文化人も含まれています。
【2026年最新】横浜外国人墓地の公開日・見学時間・募金はいくら?

横浜外国人墓地を訪れる際、最も注意したいのが公開日です。
一般的な観光施設のように毎日自由に入れるわけではありません。通常は墓地内部が非公開となっており、維持管理のための募金公開日に限って一般見学ができます。
2026年の一般公開期間と見学時間公益財団法人横浜外国人墓地が案内している基本的な公開条件は次のとおりです。
| 項目 | 2026年の基本条件 |
|---|---|
| 公開期間 | 2月~7月、9月~12月 |
| 公開曜日 | 土曜日・日曜日・祝日 |
| 見学時間 | 12:00~16:00 |
| 公開条件 | 募金への協力 |
| 天候 | 雨天時は中止 |
| 1月・8月 | 原則として一般公開休止 |
| 見学方法 | 指定された順路で見学 |
公開予定日は公式サイトのカレンダーで案内されています。カレンダーの赤色表示が募金公開日です。
2026年11月4日時点では、11月は公開対象期間に含まれています。
11月のこれからの土日祝の候補日は、7日・8日、14日・15日、21日・22日・23日、28日・29日です。ただし、これらすべてが個別に公開確定しているという意味ではありません。実際の訪問前には公式カレンダーと当日の中止告知を確認してください。
入苑料・募金は500円程度が目安横浜外国人墓地には、一般的な観光施設のような固定の入場チケット料金はありません。
墓地の維持管理を支援する募金に協力すると、その返礼として園内を見学できます。
一般見学時の募金目安500円程度
募金への返礼として案内パンフレットが配布されます。
なお、料金については情報の更新時期に注意が必要です。
横浜市観光情報サイトの古い掲載情報には一口200円という記載が残っています。一方、墓地を管理する公益財団法人の現在の募金公開案内では500円程度、英語案内では500円以上とされています。
訪問時の目安には、管理主体である財団の最新案内を優先するのが適切です。
なぜ募金が必要なのか?横浜外国人墓地は、一般的な市営公園や自治体の観光施設とは異なります。
墓地の管理は公益財団法人横浜外国人墓地が担っており、国や横浜市が直接管理する施設ではありません。
墓石の保全、園内の清掃、植栽管理、施設の維持などには継続的な費用が発生します。
また、墓地には無縁となった墓所もあり、管理を続けるための資金確保は大きな課題です。
公式案内でも募金公開は墓地の維持管理を目的とした活動として位置付けられています。
つまり、500円程度の募金は単なる見学料ではなく、幕末から続く歴史的な墓地を次の世代に残すための支援という意味を持っています。
【著名人・関係者一覧】横浜外国人墓地に眠る日本近代化の功労者
横浜外国人墓地の見どころは、墓石の形や景観だけではありません。
埋葬者の経歴をたどると、日本の近代化に関わった多くの外国人の足跡が浮かび上がります。
特に注目したいのが、エドモンド・モレル、チャールズ・ワーグマン、ウィリアム・コープランド、チャールズ・リチャードソンの4人です。
著名人と横浜・日本との関係| 人物 | 主な功績・経歴 | 歴史的なつながり |
|---|---|---|
| ロバート・ウィリアムス | ペリー艦隊の米海兵隊員 | 1854年の墓地の起源に関係。後に下田へ改葬 |
| チャールズ・リチャードソン | イギリス人商人 | 1862年の生麦事件の犠牲者 |
| エドモンド・モレル | イギリス人鉄道技師 | 新橋・横浜間の鉄道建設を指揮 |
| チャールズ・ワーグマン | イギリス人報道画家 | 『ジャパン・パンチ』を創刊し、日本の洋画にも影響 |
| ウィリアム・コープランド | ノルウェー出身の醸造家 | スプリングバレー・ブルワリーを設立 |
エドモンド・モレル(1840~1871年)は、明治初期の鉄道建設に携わったイギリス人技術者です。
日本初の本格的な鉄道となった新橋・横浜間の建設で、初代の英国人技師長として工事を指揮しました。
当時の日本には、鉄道を建設・運営するための技術や経験が十分にありませんでした。そこで政府は海外から技術者を招き、鉄道をはじめとする近代的なインフラ整備を進めていきます。
モレルは来日後、鉄道建設に尽力しましたが、1871年に病気で亡くなりました。
国立公文書館の解説でも、新橋・横浜間の鉄道工事を設計した人物として紹介されています。
2.チャールズ・ワーグマン:日本の漫画・洋画史に残る報道画家チャールズ・ワーグマン(1832~1891年)は、幕末から明治にかけて横浜で活動したイギリス人画家・ジャーナリストです。
1861年に来日し、イギリスの新聞『イラストレイテッド・ロンドン・ニューズ』の特派員として、日本の風景や人々の暮らしをスケッチしました。
翌1862年には、横浜で風刺漫画雑誌『ジャパン・パンチ』を創刊します。
同誌では、外国人居留地の生活や幕末の政治・社会情勢などが漫画やイラストで描かれました。
加えて、ワーグマンは日本人画家の育成にも影響を与えています。五姓田義松や高橋由一らに西洋絵画の技法を伝えた人物としても知られています。
神奈川県立歴史博物館も、ワーグマンを近代日本美術史の重要人物として取り上げています。
3.ウィリアム・コープランド:日本のビール産業の先駆者ウィリアム・コープランド(1834~1902年)は、ノルウェー出身の醸造家です。
1864年に来日し、1870年には横浜・山手にスプリングバレー・ブルワリーを設立しました。
当時の日本では、ビールは主に輸入品として流通していました。コープランドは横浜の湧き水を利用し、日本で継続的に商業用ビールを製造する事業を展開します。
醸造所の経営には苦労もありましたが、彼のもとで技術を学んだ日本人醸造家たちが、その後の国内ビール産業の発展を支えました。
1885年には醸造所の跡地を基盤としてジャパン・ブルワリーが設立され、1888年にはキリンビールが発売されます。
キリンの歴史資料でも、コープランドは日本のビール産業の祖として紹介されています。
4.チャールズ・リチャードソン:生麦事件で命を落としたイギリス人商人チャールズ・リチャードソンは、1862年9月14日、現在の横浜市鶴見区生麦付近で発生した生麦事件の犠牲者です。
事件は、薩摩藩主・島津久光の行列と、乗馬して通行していたイギリス人一行との間で起こりました。
行列の通行をめぐる衝突から薩摩藩士がイギリス人に斬りかかり、リチャードソンが死亡。ほかにも負傷者が出ました。
この事件は日英関係を大きく揺るがし、翌1863年の薩英戦争につながる重要な出来事となりました。
横浜外国人墓地の歴史資料でも、リチャードソンは生麦事件で亡くなった人物として紹介されています。
事件の詳細は、アジア歴史資料センターや横浜市鶴見区の歴史解説でも確認できます。
この4人の経歴から分かるのは、横浜外国人墓地が単に外国人の埋葬場所ではないということです。
日本の鉄道、芸術、食文化、外交関係という異なる分野の歴史が、同じ場所に刻まれています。
【資料館・アクセス】開館時間と元町・中華街駅からの行き方
墓地の内部を見学できない日でも、横浜外国人墓地資料館を訪れることで、埋葬者の経歴や歴史を知ることができます。
資料館の開館時間・休館日・入館料横浜市観光情報サイトの施設案内によると、資料館の基本情報は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 横浜外国人墓地資料館 |
| 開館時間 | 9:00~17:00 |
| 休館日 | 月曜日・火曜日 |
| 祝日の場合 | 翌平日が休館となる場合あり |
| 入館料 | 無料 |
| 所在地 | 横浜市中区山手町96 |
| 電話番号 | 045-622-1311 |
資料館では、埋葬されている人物の業績を紹介する資料が展示されています。展示解説には英語も併記されています。
墓地内部の公開時間が12時から16時であるのに対し、資料館は9時から17時です。
この違いを把握しておくと、訪問当日の予定を組みやすくなります。
元町・中華街駅からのアクセス最も便利なアクセス方法は、みなとみらい線の元町・中華街駅を利用するルートです。
- 最寄り駅: みなとみらい線・元町・中華街駅
- 出口: 6番出口
- 所要時間: アメリカ山公園経由で徒歩約3分
- 住所: 神奈川県横浜市中区山手町96
駅の6番出口からアメリカ山公園方面へ進むと、山手の丘へアクセスできます。
横浜市営バスを利用する場合は、11系統・20系統の「港の見える丘公園」バス停も利用できます。
JR根岸線の石川町駅から向かう場合は、元町商店街を経由して徒歩約25分が目安です。
専用駐車場はありません。公共交通機関での訪問がおすすめです。
資料館と墓地内部は別々に考える訪問時に注意したいのは、資料館が開館していても墓地内部が一般公開されているとは限らないことです。
資料館は通常の開館日・時間に利用できますが、墓地の内部は募金公開日に限られます。
また、横浜市の施設情報ではバリアフリー対応が十分ではないこと、資料館に段差があること、施設内にトイレがないことも案内されています。
足元に不安がある人や車いすを利用する人は、事前に管理事務所へ確認しておくと安心です。
【通常非公開の理由】墓地を自由に見学できないのはなぜ?
横浜外国人墓地が通常非公開となっているのには、管理上の事情があります。
第一に、ここは観光客向けにつくられた公園ではなく、実際に人が眠る墓地であることです。
遺族や関係者による墓参の場であり、静かな環境と墓所の尊厳を守る必要があります。
第二に、墓地の維持管理を担うのが公益財団法人であり、維持費を継続的に確保しなければならないことです。
公式案内によれば、一般公開は募金活動と一体になった取り組みです。一般来苑者に指定ルートを案内することで、墓地の保存に必要な資金を集めています。
公開日以外でも墓地の雰囲気を感じられる?墓地内部に入れない日でも、山手本通り沿いから墓地の景観を眺めることはできます。
横浜市の施設案内では、山手本通りから入口付近の小広場まで進み、墓地内部を展望できると説明されています。
ただし、外から眺められることと、園内へ入苑できることは別です。
公開日以外に柵を越えたり、管理者に無断で立ち入ったりすることは避けましょう。
見学時に知っておきたい3つのポイント- 写真撮影よりも墓地への配慮を優先する: 静かな墓参の場であることを忘れず、節度を持って見学する。
- 公開時間に余裕を持って到着する: 16時には閉門するため、終了間際の訪問は避ける。
- 雨天時は中止を確認する: 週末でも天候によって公開されない場合がある。
公式案内によると、一般公開時には約10分で一巡できる指定順路が設けられています。募金の返礼として配られるパンフレットを使えば、歴史上の人物の墓所を確認しながら見学できます。
【プロの結論】横浜外国人墓地を訪れる価値とおすすめの楽しみ方
横浜外国人墓地を訪れる価値は、幕末から明治にかけて日本の歴史を動かした人々の足跡を、実際の墓所を通してたどれることにあります。
ペリー艦隊の来航をきっかけに生まれた墓地には、鉄道建設を支えたモレル、近代日本の美術に影響を与えたワーグマン、日本のビール産業の礎を築いたコープランドなど、異なる分野で活躍した人々が眠っています。
それぞれの人物の功績を知ってから墓地を訪れると、墓石の一つひとつが単なる歴史的な建造物ではなく、日本と世界の交流を伝える記録として見えてきます。
こんな人におすすめ- 幕末・明治の歴史や横浜開港の経緯に興味がある人
- 日本の鉄道やビール産業の歴史を深く知りたい人
- ワーグマンなど日本美術に影響を与えた外国人を研究したい人
- 山手の歴史的建造物や洋館を巡りたい人
- 横浜の観光地を歴史的な視点から楽しみたい人
一方、自由に園内を散策したい人や、いつでも入場できる観光施設を探している人には、公開日の制約が不便に感じられる可能性があります。
その場合は、資料館と山手本通りからの景観見学を中心に予定を組む方法があります。
横浜外国人墓地に関するよくある質問(FAQ)
Q1:横浜外国人墓地は2026年の何月に見学できますか?
A1:原則として2月から7月、9月から12月の土曜日・日曜日・祝日に募金公開が行われます。雨天時は中止となる場合があり、1月と8月は通常公開されません。具体的な公開日は公式カレンダーで確認してください。
Q2:横浜外国人墓地の入苑料はいくらですか?
A2:固定の入苑料ではなく、維持管理のための募金方式です。現在の公式案内では500円程度が目安となっています。募金への返礼としてパンフレットが配布されます。
Q3:横浜外国人墓地資料館は無料ですか?
A3:はい。資料館の入館料は無料です。基本の開館時間は9時から17時で、月曜日・火曜日が休館日です。祝日などによる変更もあるため、事前確認をおすすめします。
Q4:元町・中華街駅から徒歩何分ですか?
A4:6番出口からアメリカ山公園を経由して徒歩約3分が公式案内の目安です。JR石川町駅からは元町商店街を通って徒歩約25分です。
Q5:横浜外国人墓地には誰が眠っていますか?
A5:鉄道建設に携わったエドモンド・モレル、報道画家のチャールズ・ワーグマン、ビール醸造家のウィリアム・コープランド、生麦事件の犠牲者チャールズ・リチャードソンなどが知られています。
Q6:横浜外国人墓地はなぜ通常非公開なのですか?
A6:墓地は観光施設ではなく、遺族や関係者の墓参の場でもあるためです。また、公益財団法人による維持管理を継続する必要があり、一般公開は募金活動と連動した限定的な運営となっています。
横浜外国人墓地は、1854年のペリー艦隊来航をきっかけに始まり、1861年に外国人専用墓地として区画が整備された歴史的な場所です。
約40数か国、約5,000人が眠る園内には、日本の近代化を支えた外国人たちの歴史が刻まれています。
2026年に訪れる場合は、次の4点を確認しましょう。
- 墓地の一般公開は原則2~7月、9~12月の土日祝日。
- 見学時間は12時~16時で、雨天時は中止の場合がある。
- 維持管理募金は500円程度が目安。
- 資料館は9時~17時、元町・中華街駅から徒歩約3分。
特に大切なのは、墓地の公開日と資料館の開館日を別々に確認することです。
山手の美しい景観を楽しむだけでなく、モレルやワーグマン、コープランドらが日本に残した功績を知ることで、横浜という街が世界との交流を通じて発展してきた歴史を、より深く理解できます。
訪問前には公益財団法人横浜外国人墓地の公開予定表と当日の案内を確認し、歴史を尊重しながら見学を楽しんでください。
主な参考資料:公益財団法人横浜外国人墓地公式案内、横浜市観光情報サイト、横浜開港資料館、横浜市立図書館デジタルアーカイブ、国立公文書館、神奈川県立歴史博物館、キリン歴史ミュージアム、アジア歴史資料センター。