育児のための時短勤務は、いつまで利用できるのでしょうか。子どもが3歳になると制度が終了するのか、小学校入学前まで延長できるのかは、仕事と子育てを両立する家庭にとって大きな関心事です。2026年11月現在、育児・介護休業法では、原則として3歳未満の子どもを養育する労働者に短時間勤務制度を設けることが事業主に義務付けられています。一方、2025年10月1日には法改正によって3歳以降の働き方に関する制度も拡充されました。
ただし、3歳以降も全員が同じ条件で時短勤務を続けられるわけではありません。会社が選択した柔軟な働き方の措置、就業規則、労使協定、独自の育児支援制度によって利用できる内容が異なります。時短勤務の終了時期やフルタイム復帰後の働き方を考えるには、法律上の最低基準と勤務先の制度を分けて理解することが大切です。
【2026年最新】時短勤務はいつまで?法律上の対象年齢を解説

育児のための時短勤務について、まず押さえておきたいのは、法律上の原則と会社独自の制度には違いがあるという点です。
育児・介護休業法第23条に基づく短時間勤務制度は、原則として3歳に満たない子どもを養育する労働者が対象です。つまり、子どもが3歳の誕生日を迎える前日までが、法律で事業主に制度の導入が義務付けられている期間です。
ただし、3歳になった瞬間に育児に関する支援制度がすべて終了するわけではありません。2025年10月1日からは、3歳以上で小学校就学前の子どもを育てる労働者についても、会社に柔軟な働き方を実現するための措置が義務付けられています。
法律上の対象期間と会社独自の延長期間は違う時短勤務の利用期間は、次のように整理できます。
- 3歳未満:原則として短時間勤務制度の導入が法律上の義務。
- 3歳から小学校入学前:会社が複数の柔軟な働き方の措置を導入し、労働者がその中から選択して利用する。
- 小学校入学後:育児短時間勤務について法律上の一律の導入義務はないが、会社独自の制度で延長できる場合がある。
このように、3歳以降の時短勤務は、勤務先がどの制度を導入しているかによって利用可能性が変わります。
「時短勤務は3歳まで」という説明は、法律上の基本的な短時間勤務制度については正しいものの、2025年10月以降の制度や企業独自の延長制度まで含めると、必ずしも十分な説明ではありません。
【3歳未満】育児短時間勤務制度の仕組みと対象者
育児短時間勤務制度は、育児休業から復帰した労働者などが、子育てをしながら働き続けられるように設けられた制度です。
法律では、事業主に対して、3歳未満の子どもを養育する労働者が利用できる短時間勤務制度を設けることを求めています。
1日6時間勤務が原則となる仕組み短時間勤務制度では、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含めることが必要です。
例えば、通常の勤務時間が午前9時から午後6時までで、休憩時間が1時間の場合、実働8時間の勤務を6時間に短縮する形が考えられます。
会社によっては、午前9時から午後4時までの勤務や、始業・終業時刻を調整した勤務形態などを設定しています。法律が求めているのは原則6時間の措置を含む制度であり、すべての企業が同じ勤務時間帯に統一する必要はありません。
短時間勤務制度の対象者原則的な対象者は、3歳未満の子どもを養育する労働者です。ただし、次の条件に該当する場合には、対象外となることがあります。
- 日々雇用される労働者ではないこと。
- 1日の所定労働時間が6時間以下ではないこと。
- 短時間勤務制度の適用期間中に、現に育児休業を取得していないこと。
- 労使協定によって適用除外とされた労働者に該当しないこと。
労使協定が締結されている場合、次の労働者は対象から除外される可能性があります。
- 継続雇用期間が1年未満の労働者。
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者。
- 業務の性質や実施体制から短時間勤務制度の導入が困難と認められる業務に従事する労働者。
ただし、業務の性質などを理由に短時間勤務制度の対象外とする場合、会社は育児休業に準ずる措置やフレックスタイム制、時差出勤、保育施設の設置、テレワークなどの代替措置を講じる必要があります。
そのため、会社から「職種の都合で時短勤務はできない」と説明された場合でも、それだけで法律上の対応が完了するわけではありません。労使協定の内容と代替措置の有無を確認することが大切です。
【2025年10月法改正】3歳以降の時短勤務はどう変わった?
3歳以降の働き方を考えるうえで重要なのが、2025年10月1日に施行された育児・介護休業法の改正です。
この改正では、3歳から小学校就学前までの子どもを養育する労働者に対し、事業主が「柔軟な働き方を実現するための措置」を複数導入することが義務付けられました。
要点は、会社が5つの選択肢から2つ以上を選んで制度を整備し、労働者はその中から1つを選択して利用できるという仕組みです。
会社が導入する5つの選択肢- 始業時刻等の変更:フレックスタイム制や時差出勤など。
- テレワーク等:月10日以上利用できる在宅勤務など。
- 保育施設の設置運営等:事業所内保育施設の設置や、それに準ずる便宜の提供。
- 養育両立支援休暇:年間10日以上取得できる、仕事と育児を両立するための休暇。
- 短時間勤務制度:原則として1日の所定労働時間を6時間とする措置を含む制度。
この5つの中から会社が2つ以上を選択するため、すべての企業で時短勤務が選択肢に含まれるわけではありません。
年齢別に見る時短勤務と育児支援制度の違い制度の違いを整理すると、次のようになります。
| 対象年齢・期間 | 制度の内容 | 会社の義務と労働者の選択 |
|---|---|---|
| 3歳未満 | 育児短時間勤務制度 | 原則6時間勤務を含む制度の導入が義務。対象要件を満たす労働者が利用できる。 |
| 3歳から小学校就学前 | 柔軟な働き方を実現するための措置 | 5つから2つ以上を会社が選択して導入。労働者は導入済みの措置から1つを選択する。 |
| 小学校入学後 | 会社独自の育児支援制度など | 育児短時間勤務の一律の導入義務はない。会社の就業規則や独自制度による。 |
特に注意したいのは、3歳から小学校就学前までの期間です。
例えば、勤務先がフレックスタイム制とテレワークを選択して導入している場合、労働者はそのいずれかを利用する仕組みになります。会社が短時間勤務制度を選択していなければ、法律上の柔軟な働き方の措置だけを根拠に、時短勤務を当然に要求することはできません。
一方、会社が短時間勤務制度を選択していれば、所定の条件に従って利用できます。会社が法定基準を上回る独自制度を設けている場合は、さらに長い期間の利用も可能です。
3歳になる前に会社から説明を受ける制度も義務化2025年10月の改正では、制度の導入だけでなく、労働者への個別周知と利用意向の確認も義務付けられました。
会社は、3歳未満の子どもを養育する労働者に対して、子どもが3歳になるまでの適切な時期に、導入した措置の内容や申出先などを個別に説明し、利用する意向を確認しなければなりません。
周知時期は、原則として子どもの3歳の誕生日の1か月前までの1年間です。目安として、1歳11か月に達した日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日までが該当します。
また、妊娠・出産の申出時や子どもが3歳になる前の適切な時期には、勤務時間帯、勤務地、制度の利用期間、仕事と育児を両立するための就業条件などについて、本人の意向を個別に聴取し、配慮することも事業主に求められています。
3歳の誕生日が近づいている場合は、会社からの説明を待つだけでなく、人事部や労務担当者に制度の内容を確認しておくと安心です。
【会社独自の制度】小学校就学前や小学生まで時短勤務を延長できる?
法律上の短時間勤務制度は原則3歳未満が対象ですが、会社が独自に利用期間を延長することは禁止されていません。
例えば、次のような制度を設けることができます。
- 子どもが3歳になるまでの法定時短勤務。
- 小学校入学前までの育児短時間勤務。
- 小学校3年生修了までの育児短時間勤務。
- 小学校卒業までの短時間勤務。
- 子どもの年齢に関係なく、一定の条件で利用できる時短勤務。
これらは会社独自の福利厚生や育児支援制度として導入できるものであり、すべての企業に共通する法律上の義務ではありません。
就業規則と育児・介護休業規程を確認する3歳以降も時短勤務を続けたい場合、最初に確認したいのが就業規則と育児・介護休業規程です。
特に確認したい項目は次のとおりです。
- 時短勤務を利用できる子どもの年齢。
- 小学校入学前や小学校卒業までの延長制度の有無。
- 利用申請の期限と必要書類。
- 1日の勤務時間と始業・終業時刻。
- 時短勤務の更新や再申請の条件。
- 給与、賞与、各種手当の取り扱い。
- フルタイム勤務へ戻る際の手続き。
会社の採用ページや福利厚生の紹介に「育児支援制度あり」と書かれていても、実際の利用条件は社内規程に定められていることがあります。制度の名称だけで判断せず、対象年齢と利用期間を具体的に確認しましょう。
労使協定による対象者の除外にも注意就業規則とあわせて確認したいのが労使協定です。
労使協定とは、会社と労働者側の代表者などが締結する書面による協定です。育児短時間勤務制度では、法律が認める一定の条件に該当する労働者を対象外とする取り決めが可能です。
ただし、会社が自由に対象者を除外できるわけではありません。法律で認められた条件を満たす必要があります。
また、2025年10月からの柔軟な働き方を実現するための措置についても、労使協定によって対象外にできる労働者の範囲が定められています。
勤務先から時短勤務の延長を断られた場合は、次の3点を確認すると判断しやすくなります。
- 法律上の制度なのか、会社独自の制度なのか。
- 就業規則や育児・介護休業規程にどのような条件が書かれているか。
- 労使協定による適用除外がある場合、その根拠と対象範囲は何か。
【収入への影響】時短勤務の給料と育児時短就業給付金
時短勤務をいつまで続けるか考える際、避けて通れないのが収入の問題です。
勤務時間が短くなると、給与も減額されるケースが一般的です。ただし、育児短時間勤務中の給与をどのように計算するかは、企業の賃金規程や労働契約によって異なります。
そのため、時短勤務を始める前には、基本給だけでなく、賞与、残業代、各種手当、社会保険料なども含めて収入への影響を確認することが大切です。
2025年4月開始の育児時短就業給付金とは2025年4月1日には、育児のために時短勤務を選択する労働者を支援する「育児時短就業給付金」が創設されました。
この制度は、2歳未満の子どもを養育するために所定労働時間を短縮して働く雇用保険の被保険者を対象とする給付制度です。
主な受給資格には、次のような条件があります。
- 2歳未満の子どもを養育するために所定労働時間を短縮して働いていること。
- 雇用保険の被保険者であること。
- 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き時短勤務を開始するか、開始日前2年間に一定の被保険者期間があること。
給付額は、原則として時短勤務中に支払われた賃金の10%相当額です。ただし、時短勤務中の賃金と給付額の合計が時短勤務開始前の賃金を超えないよう、給付率が調整される場合があります。
育児時短就業給付金はいつまで受け取れる?ここで注意したいのが、時短勤務そのものの利用期間と、給付金の対象期間は異なるという点です。
育児短時間勤務制度は原則3歳未満の子どもが対象ですが、育児時短就業給付金は原則として子どもが2歳に達する日の前日が属する月までが支給対象期間です。
つまり、2歳から3歳までの期間も法律上の短時間勤務制度を利用できる一方で、育児時短就業給付金は原則として受け取れません。
この違いは、家計の収支を計画するうえで重要です。時短勤務を2歳以降も続ける予定なら、給付金が終了した後の手取り収入も試算しておきましょう。
なお、支給要件や申請手続きの詳細は、勤務先の担当部署またはハローワークで確認できます。
【プロの結論】時短勤務終了後のフルタイム復帰で失敗しない方法
時短勤務は、利用できる期間だけでなく、終了後の働き方まで考えておくことが大切です。
特に、子どもが3歳になるタイミングや小学校入学のタイミングは、保育環境や家庭の生活リズムが変わりやすい時期です。制度上の利用期限だけを基準にするのではなく、家庭の状況と職場の制度を照らし合わせて判断する必要があります。
フルタイム復帰の前に確認したい5つのポイント時短勤務の終了が近づいたら、次の点を確認しておきましょう。
- 復帰予定日:時短勤務の終了日と通常勤務に戻る日を確認する。
- 勤務時間:始業・終業時刻や休憩時間、残業の取り扱いを確認する。
- 仕事内容:復帰後の業務量や担当範囲がどうなるかを人事担当者や上司と話し合う。
- 給与と待遇:基本給、賞与、手当、評価制度などの取り扱いを確認する。
- 育児支援制度:フレックス勤務、在宅勤務、時差出勤など、時短勤務以外の制度を活用できるか確認する。
時短勤務の申出期間が終了した後、通常勤務に戻るのか、延長申請ができるのかは、勤務先の制度や申出内容によって異なります。雇用契約そのものを変更する形で勤務時間を短縮している場合には、通常勤務に戻る際の条件も別途確認が必要です。
時短勤務の延長を相談するならいつがよい?おすすめなのは、子どもが3歳になる直前ではなく、余裕を持って会社に相談することです。
特に2025年10月以降は、会社に柔軟な働き方の措置について個別に周知・意向確認する義務があります。この機会に、短時間勤務を希望するのか、時差出勤やテレワークを希望するのか、自分の希望を具体的に伝えるとよいでしょう。
また、会社に制度がない場合でも、勤務時間帯の変更や業務量の調整など、育児と仕事を両立するための働き方について相談する余地があります。
時短勤務を延長したほうがよい人・フルタイム復帰を検討できる人時短勤務の延長が向いているのは、保育園や学童保育の利用時間に制約がある家庭、子どもの送迎を主に担当している家庭、育児と仕事の両立にまだ負担が大きい家庭などです。
一方、保育環境が安定している場合や、家族間で送迎や育児を分担できる場合には、フルタイム復帰やフレックスタイム制への移行も選択肢になります。
大切なのは、時短勤務を延長すること自体を目的にしないことです。収入、キャリア、家庭で過ごす時間、子どもの生活リズムを総合的に考え、無理なく続けられる働き方を選ぶことが重要です。
時短勤務はいつまでに関するよくある質問(FAQ)
Q1:時短勤務は子どもが3歳になったら必ず終了しますか?
A1:必ず終了するわけではありません。法律上の短時間勤務制度の導入義務は原則3歳未満までですが、2025年10月からは3歳以上小学校就学前までの柔軟な働き方の措置が義務化されています。また、会社が独自に時短勤務の利用期間を延長している場合もあります。
Q2:時短勤務は小学校入学前まで利用できますか?
A2:会社の制度によっては利用できます。2025年10月以降、会社は3歳から小学校就学前までの子どもを養育する労働者に対して、5つの措置から2つ以上を導入する必要があります。ただし、必ず短時間勤務制度を選択しなければならないわけではありません。
Q3:育児短時間勤務制度は正社員だけが対象ですか?
A3:正社員だけに限定される制度ではありません。一定の要件を満たす契約社員なども対象になり得ます。ただし、日々雇用される労働者や労使協定によって適用除外とされた労働者などは対象外となる場合があります。
Q4:時短勤務中の給料は必ず減額されますか?
A4:法律で一律の給与額が決められているわけではありません。実際の賃金は会社の就業規則や賃金規程などによって異なります。勤務時間に応じて減額されるケースが一般的ですが、給与の計算方法を事前に確認することが大切です。
Q5:育児時短就業給付金は3歳まで受け取れますか?
A5:原則として3歳までではありません。対象となるのは2歳未満の子どもを養育するために時短勤務を行う雇用保険の被保険者で、所定の受給資格を満たす人です。原則として子どもが2歳に達する日の前日が属する月までが支給対象期間です。
Q6:会社が時短勤務の延長を認めない場合はどうすればよいですか?
A6:最初に、3歳以降に会社が導入している柔軟な働き方の措置と、就業規則・育児介護休業規程を確認しましょう。法律上の対象期間なのか、会社独自の延長制度なのかによって判断が異なります。制度の説明に疑問がある場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)などに相談できます。
時短勤務はいつまで利用できるのかという疑問に対する基本的な答えは、法律上の育児短時間勤務制度については原則として子どもが3歳になるまでです。
しかし、2025年10月1日からは、3歳から小学校就学前までの子どもを養育する労働者に対して、会社が2つ以上の柔軟な働き方の措置を導入することが義務付けられました。短時間勤務制度も5つの選択肢の1つに含まれています。
加えて、企業独自の制度によって小学校入学後まで時短勤務を延長できるケースもあります。2026年現在、時短勤務の終了時期を判断する際には、法律上の対象年齢だけでなく、勤務先の就業規則、労使協定、育児支援制度を確認することが欠かせません。
育児と仕事の両立は、子どもの成長や家庭環境によって必要な支援が変わります。3歳になったら必ずフルタイムに戻ると決めつけず、会社が用意している制度を把握し、必要に応じて人事担当者と相談しながら、自分と家族に合った働き方を選びましょう。
公的な根拠資料: 厚生労働省「短時間勤務等の措置」、厚生労働省「柔軟な働き方を実現するための措置」、厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」。