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【糖尿病性壊疽の原因と症状】なぜ足の切断にまで進行するのか?

椿 花鈴 椿 花鈴 • 更新: • 公開: • 読了約 16 分
目次

糖尿病による足の切断を理解するうえで欠かせないのが、糖尿病性足病変と糖尿病性壊疽です。

糖尿病性壊疽とは、足の組織に十分な血液が届かなくなったり、感染が進行したりして、組織が死んでしまう状態を指します。

単純に糖尿病だから足が腐るというわけではありません。複数の合併症が重なることで、足の傷が治らず、深刻な状態に進行します。

1.糖尿病性神経障害によって痛みを感じにくくなる

糖尿病の代表的な合併症の一つが神経障害です。

血糖値が高い状態が長期間続くと、末梢神経が障害され、足先の感覚が鈍くなることがあります。

その結果、次のような異常に気づきにくくなります。

- 靴擦れによる皮膚の傷
- 小さな切り傷や出血
- 足の裏にできた水ぶくれ
- 低温やけど
- タコやウオノメの下にできた傷

通常なら痛みを感じて靴を脱いだり、歩くのをやめたりする場面でも、神経障害があると異常に気づかず歩き続けてしまうことがあります。

谷津嘉章さんの事例でも、足の小さな傷が出発点となり、症状が深刻化しました。

2.血流障害によって傷が治りにくくなる

もう一つの大きな原因が、末梢動脈疾患(PAD)などによる血流障害です。

糖尿病は動脈硬化のリスクを高め、足先の血管が狭くなることがあります。

血液の流れが悪くなると、傷の修復に必要な酸素や栄養が十分に届きません。

その結果、通常なら治るような傷でも、長期間治らず潰瘍に進行する可能性があります。

血流障害が進むと、足先が冷たくなったり、歩行時に痛みが出たり、さらに重症化すると安静時にも痛みを感じることがあります。

3.感染症が加わると壊疽に進行することがある

高血糖状態が続くと、感染に対する身体の抵抗力が低下し、傷口に細菌が入り込んだ際に感染が広がりやすくなります。

特に危険なのが、次の3つが重なった状態です。



第1段階
神経障害

足の傷ややけどに気づきにくくなる。





第2段階
血流障害

酸素や栄養が不足し、傷が治りにくくなる。





第3段階
細菌感染・組織の壊死

潰瘍や壊疽が進行し、重症化する。





重症例では下肢切断を検討

感染や壊死が広範囲に及び、足を残す治療が難しい場合、生命を守るために切断が必要になることがある。

日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」でも、神経障害、末梢動脈疾患、足の変形、皮膚の乾燥などが足病変の発症に関係すると説明されています。

【糖尿病の足病変】初期症状と足潰瘍の見分け方

糖尿病足切断有名人

糖尿病患者が特に注意したいのは、足の異常が必ずしも痛みを伴うわけではないということです。

痛くないから大丈夫という判断は危険です。

糖尿病性足病変の初期症状

初期に見られる可能性がある変化は次のとおりです。

症状 注意したい状態
足先のしびれ 末梢神経障害の可能性
足の冷え 血流障害の可能性
皮膚の乾燥 ひび割れや傷につながる
タコ・ウオノメ 足への圧力が集中している
水ぶくれ 靴擦れや摩擦による損傷
足の変形 神経障害に伴う変化の可能性
傷が治らない 血流障害や感染の可能性

これらは必ずしも糖尿病性足病変を意味するものではありませんが、糖尿病患者に現れた場合は注意が必要です。

糖尿病性足潰瘍の見分け方

足潰瘍は、皮膚が傷つき、組織が欠損している状態です。

次のような変化がある場合は、医療機関での評価が必要です。

- 足の裏や指に皮膚の欠損がある
- 傷口がなかなかふさがらない
- 傷の周囲が赤く腫れている
- 触ると熱を持っている
- 膿や浸出液が出ている
- 傷や足から悪臭がする
- 足指が黒色や紫色に変色している

特に黒ずみ、急速な腫れ、膿、悪臭などがある場合は、壊死や重い感染症の可能性もあります。

糖尿病患者で足に傷や変色が見つかった場合は、痛みの有無にかかわらず速やかに受診してください。 発熱や急激な悪化を伴う場合は救急受診が必要です。

【糖尿病の足切断の実態と確率】どれくらいの人が切断に至る?

糖尿病患者全員が足を切断するわけではありません。しかし、足潰瘍や壊疽を発症した場合には、切断に至る危険性が高くなります。

ここでは、日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」に掲載された疫学データを紹介します。

糖尿病患者の足潰瘍・切断に関するデータ
指標 報告されている数値 データの意味
世界の糖尿病患者の足潰瘍有病率 6.3% 系統的レビューによる推計
日本の糖尿病患者の足潰瘍有病率 0.7% 2007年度の国民健康・栄養調査
先進国の足潰瘍年間発生率 約2% IDFの推奨資料に基づく数値
足潰瘍から切断に至る割合 7~20% 足潰瘍患者についての報告
糖尿病患者の足切断に先行する足潰瘍 80~85% 切断例における足潰瘍の先行割合
非糖尿病患者との切断頻度の比較 7.4~41.3倍 研究報告による幅

この数字を見る際には、いくつかの注意点があります。

最初に、日本の0.7%という数字は2007年度の調査結果であり、2026年現在の日本の実態をそのまま表す最新の全国統計ではありません。

また、糖尿病患者の約1%が下肢切断に至るというIDFの記載についても、年間発生率と混同してはいけません。

足潰瘍から切断に至る7~20%という数字も、糖尿病患者全体ではなく、足潰瘍を発症した患者を対象とした割合です。

切断リスクが高くなりやすい人の特徴

日本糖尿病学会のガイドラインでは、特に次のような人について足の観察をより頻繁に行うことが推奨されています。

- 過去に足潰瘍や壊疽を経験した人
- 糖尿病性神経障害がある人
- 足の変形がある人
- 末梢動脈疾患を合併している人

過去に足潰瘍を経験した人は、再発にも注意しなければなりません。

【糖尿病の足切断を防ぐ方法】2026年最新のフットケアと予防習慣

足切断を防ぐために重要なのは、血糖管理だけではありません。

毎日の足の観察、適切な靴選び、傷の早期治療などを組み合わせることが大切です。

2026年1月15日に更新された国立健康危機管理研究機構の糖尿病情報センターの解説でも、日常的なフットケアの重要性が示されています。

1.毎日、足の状態を確認する

入浴後や就寝前など、決まった時間に足を確認する習慣をつけましょう。

特に確認したい場所は次のとおりです。

- 足の裏
- 足の指の間
- かかと
- 爪の周囲
- タコやウオノメがある部分

足の裏が見えない場合は鏡を利用したり、家族に確認してもらったりする方法があります。

長時間歩いた後や運動後は、靴擦れや水ぶくれができていないか念入りに確認してください。

2.足を清潔に保ち、乾燥にも注意する

足を洗うときは、石けんを泡立て、柔らかいタオルなどで優しく洗います。

洗った後は水分を丁寧に拭き取り、特に指の間を湿ったままにしないようにします。

皮膚が乾燥している場合は保湿クリームを使用できますが、指の間への塗布は避けます。

3.爪を深く切らない

深爪や爪の角の切り過ぎは、傷や感染の原因になる場合があります。

爪は深く切り落とさず、巻き爪などの問題がある場合は医療機関に相談しましょう。

タコやウオノメを自分で削ったり、市販薬で無理に処置したりすることも避けてください。

4.足に合った靴と靴下を選ぶ

靴が合っていないと、同じ場所に摩擦や圧力が集中します。

国立健康危機管理研究機構のフットケア解説では、次のような靴選びが紹介されています。

- つま先に約1センチの余裕がある
- 足の形に合っている
- 内側の縫い目などが足に当たりにくい
- クッション性がある
- 靴底が安定している

また、靴を履く前に内部に小石などの異物がないか確認することも大切です。

素足で歩くことを避け、締め付けすぎない靴下を使用することも足の保護につながります。

5.低温やけどを防ぐ

神経障害があると、熱さを十分に感じられないことがあります。

特に注意したいのが、次のような器具です。

- 湯たんぽ
- 電気あんか
- 使い捨てカイロ
- 暖房器具の温風吹き出し口

熱いと感じなくても、長時間接触すると低温やけどを起こすことがあります。

6.血糖値と血管の健康を管理する

フットケアと並行して、糖尿病そのものの治療を継続する必要があります。

血糖値だけでなく、血圧や脂質の管理、禁煙なども動脈硬化の予防に関係します。

自己判断で薬を中断せず、医師と相談しながら治療を続けることが基本です。

7.フットケア外来を利用する

足の異常を自分で確認するだけでは限界があります。

糖尿病専門医やフットケアの知識を持つ看護師による定期的な評価も大切です。

日本糖尿病学会の2024年版ガイドラインでは、集学的フットケアについて推奨グレードAとしています。

少なくとも年1回の足の総合的な観察が推奨され、足病変のリスクが高い患者では、さらに頻繁な評価が必要とされています。


毎日のフットケアチェックリスト

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{/each}

これは日常の確認用です。異常があればチェックを続けず、医療機関に相談してください。

【糖尿病で足を切断した後の生活】義足・リハビリ・社会復帰

足を切断した場合、その後の生活がどう変わるのかも気になるところです。

切断後の生活は、切断した場所や残った足の状態、血流、筋力、全身の健康状態などによって異なります。

谷津嘉章はプロレス用義足でリングに復帰

谷津さんは2019年6月の切断後、7月16日にリハビリ専門病院へ転院しました。

日刊ゲンダイのインタビューによると、理学療法士の指導の下で、午前と午後に各40分のリハビリを実施。ストレッチや筋力トレーニング、義足での歩行訓練に取り組みました。

その後、義足を使った競技復帰という目標を持つようになります。

2021年6月には、テレビ朝日の報道番組でプロレス復帰戦の様子が紹介されました。

復帰を支えたのは、義肢装具メーカーの川村義肢が開発したプロレス専用の義足です。

通常の歩行用義足とは異なり、激しい動きや技の掛け合いに対応する必要がありました。

メーカーは足底部分をオーダーメイドで製作し、カーボン繊維による補強や装着時のフィット感を高める機構などを工夫しました。

2026年現在も障がい者スポーツの普及に取り組む

谷津さんの近況については、2026年10月19日付の東スポWEB報道が伝えています。

2019年に右膝下を切断した谷津さんは、2023年に日本障がい者レスリング連盟を立ち上げました。

2026年10月18日には、東京都内で第2回全国障がい者レスリング教室を開催。約300人が集まり、競技の普及に向けた活動を続けています。

現在は、自身の経験を競技の普及や障がい者スポーツの発展につなげる活動にも力を入れています。

足指を切断した場合もリハビリが必要

林家こん平さんのように足指を切除した場合も、歩行への影響が生じることがあります。

足指は立位の安定や歩行時のバランスに関係しているためです。

切断した場所によっては、歩く際の足底圧が変化し、残っている部分に新たな傷や潰瘍ができるリスクもあります。

そのため、医療機関で歩行状態を評価し、必要に応じて足底装具や靴の調整を行うことが重要です。

義足生活で気をつけたいこと

下腿切断などで義足を使用する場合には、次のような点に注意します。

- 義足と皮膚の接触部分に傷ができていないか確認する
- 装着時の痛みや圧迫感を放置しない
- 筋力や歩行能力に合わせてリハビリを継続する
- 義足のサイズや適合状態を定期的に確認する
- 残っている足にもフットケアを徹底する

特に糖尿病が原因で切断した人は、残った足にも血流障害や神経障害が存在する場合があります。

切断した部分だけでなく、残った足を守ることも、その後の生活を維持するための重要な課題です。

【糖尿病足切断有名人】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:糖尿病で足を切断した有名人には誰がいますか?

A1:代表的な公表例として、2019年に右足を膝下で切断した元プロレスラーの谷津嘉章さんと、2013年に左足の指3本を切除した落語家の林家こん平さんがいます。2人では切断した部位と闘病経緯が異なります。

Q2:糖尿病になると必ず足を切断することになるのでしょうか?

A2:いいえ。糖尿病患者全員が足を切断するわけではありません。血糖管理、血流の評価、毎日の足の観察、傷の早期治療などによって、足病変の発症や重症化を防ぐことが重要です。

Q3:糖尿病で足の指が黒くなった場合はどうすればよいですか?

A3:壊死や血流障害、感染症などの可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。痛みがなくても放置してはいけません。急速な変色や腫れ、膿、発熱などがあれば救急受診が必要です。

糖尿病によって足を切断した有名人として知られる谷津嘉章さんと林家こん平さん。2人の闘病経緯からは、糖尿病性足病変が重症化した場合の深刻さが伝わってきます。

谷津さんは2019年6月に右足を膝下で切断しましたが、義足を使ってプロレスに復帰し、2026年現在も障がい者レスリングの普及活動を続けています。

林家こん平さんは2013年に左足の指3本を切除しました。心肺停止という危機を乗り越えた後も、家族や介護関係者の支援を受けながらリハビリを続けました。

2人の経験が教えてくれるのは、糖尿病による足の異常は、初期段階では小さな傷や靴擦れに見えることがあるという点です。

足を守るために覚えておきたい3つの判断基準は次のとおりです。

1. 痛みがなくても、足の傷や変色を軽視しない。
2. 足の冷え、しびれ、腫れ、治らない傷は医療機関で評価する。
3. 毎日のフットケアと定期的な診察を継続する。

糖尿病性壊疽は、重症化すれば命にも関わる合併症です。しかし、足の変化を早く見つけ、適切な治療につなげることで、重症化のリスクを減らすことができます。

有名人の闘病経験を単なるニュースとして終わらせず、自分や家族の足を守るための知識として役立てることが大切です。

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