2025年9月19日に公開された劇場版『チェンソーマン レゼ篇』は、TVシリーズから映像表現を発展させた作品だ。
大きな特徴は、原作漫画の画風への回帰と、劇場作品ならではのアクション表現を両立させたことにある。
𠮷原達矢監督が目指した原作への回帰劇場版の監督を務めたのは、TVシリーズでアクションディレクターを担当していた𠮷原達矢だ。
副監督には中園真登、キャラクターデザインには杉山和隆が参加した。
𠮷原監督はMANTANWEBのインタビューで、原作の魅力を改めて見直し、キャラクターデザインや作画にも藤本タツキの表現を積極的に取り入れたと説明している。
特に注目したいのが、レゼの日常描写だ。
レゼは、単に可愛らしく描けば魅力が伝わるキャラクターではない。デンジと過ごす時間の無邪気さと、その裏側にある別の顔を、表情や仕草によって表現する必要がある。
監督は、レゼの裏側を早い段階で見せすぎず、デンジの視点から純粋な可愛さが伝わるように演出したと語っている。
そのため、何気ない仕草や視線の動きにも意味がある。
劇場版ならではのシネマスコープとアクション『レゼ篇』の映像表現でもう一つ重要なのが、画面の横幅だ。
監督インタビューによると、本作ではシネマスコープサイズ(2.35:1)を採用している。
広い画面を活用することで、人物と背景の距離、アクションの奥行き、爆発の広がりを表現できる。
特に台風の悪魔やボムとの戦闘では、画面の広さが映像の迫力に直結する。
また、原作に描かれていないボムのアクションも追加されている。原作を知っている観客にも新しい発見を与えるための演出だ。
ここで注目したいのは、戦闘を派手にすることだけが目的ではないという点だ。
デンジとビームが敵に立ち向かう場面にも、少しコミカルな表現が盛り込まれている。緊張感とユーモアを交互に見せることで、作品本来の空気感を残している。
『レゼ篇』の主要スタッフと担当領域公式サイトに掲載されたスタッフ情報を整理すると、作画が複数の専門職によって支えられていることが分かる。
| スタッフ | 担当 | 作品への役割 |
|---|---|---|
| 𠮷原達矢 | 監督 | 作品全体の演出と映像設計 |
| 中園真登 | 副監督 | 演出面のサポート |
| 杉山和隆 | キャラクターデザイン | キャラクターの造形と統一 |
| 庄一 | メインアニメーター | キャラクターの動きや芝居 |
| 重次創太 | アクションディレクター | 戦闘シーンの設計 |
| りく | カラースクリプト | シーンごとの色彩設計の方向性 |
| 中野尚美 | 色彩設計 | 映像全体の色彩管理 |
| 伊藤哲平 | 撮影監督 | 作画・背景などを合わせた画面づくり |
| 瀬古浩司 | 脚本 | 物語の構成 |
劇場版の評価を考えるうえで、客観的な実績も押さえておきたい。
公式発表によると、公開から103日間にあたる2025年9月19日から12月30日までに、観客動員数は655万人、興行収入は100億円を突破した。
加えて、2026年1月19日には第49回日本アカデミー賞の優秀アニメーション作品賞を受賞した。
これらは作品全体に対する評価であり、作画単独の評価ではない。それでも、劇場作品として幅広い観客に届いたことを示す重要な実績だ。
また、2026年9月19日からはPrime Videoで見放題独占配信が始まった。
劇場の大画面で評価された映像を、自宅でも細部まで確認できるようになった点も、作画ファンにとって注目すべき動きだ。
【2026年最新】『チェンソーマン 刺客篇』の作画はどう進化する?

2026年の最新情報として見逃せないのが、『チェンソーマン 刺客篇』だ。
2025年12月21日のジャンプフェスタ2026で制作決定が発表され、2026年6月19日にはMAPPA15周年記念ラインナップ発表会で最新ティザーPVが公開された。
公式発表では、デンジを狙う世界の刺客たちが動き出す様子や、新キャラクターの姿が初公開されている。
刺客篇の監督・キャラクターデザイン・制作スタッフ公式スタッフページで確認できる主要スタッフは次のとおりだ。
- 原作:藤本タツキ
- 監督:𠮷原達矢
- 脚本:瀬古浩司
- キャラクターデザイン:杉山和隆
- サブキャラクターデザイン:庄一、瀬尾健、駿、齊田博之、千装直樹
- 悪魔デザイン:押山清高
- 色彩設計:中野尚美
- カラースクリプト:Chavoom
- 3DCGディレクター:山内智史、玉井真広
- 撮影監督:伊藤哲平
- 音楽:牛尾憲輔
- アニメーション制作:MAPPA
ここで、制作スタッフについて一つ押さえておきたい変更点がある。
庄一は『レゼ篇』ではメインアニメーター、『刺客篇』ではサブキャラクターデザインとして公式クレジットに掲載されている。
また、重次創太は『レゼ篇』のアクションディレクターとして公式にクレジットされているが、2026年11月時点で公開されている『刺客篇』のスタッフ一覧には同職で掲載されていない。
このように、作品ごとの担当領域を区別して見ることが、制作体制を正しく理解するポイントになる。
2026年6月19日のティザーPVで注目したいポイント今回のPVで重要なのは、単にキャラクターが登場したことではない。
原作の刺客篇は、さまざまな勢力がデンジの心臓を狙う展開であり、複数のキャラクターが入り乱れるアクションが見どころとなる。
そのため、映像化では次のような表現が期待される。
1. キャラクターごとの動きの差
刺客たちはそれぞれ異なる戦闘スタイルや身体的特徴を持つ。動作の個性を描き分けられるかがポイントだ。
2. 複数の人物が登場する場面の構図
人物が増えるほど、誰がどこにいて何をしているのかを伝える画面設計が重要になる。
3. 悪魔の能力とエフェクト表現
悪魔の能力を映像としてどう見せるかは、MAPPAの演出力が問われる部分だ。
4. 原作のテンポとアニメの時間表現
藤本タツキの漫画は、突然の展開や大胆な場面転換が特徴的だ。そのテンポを映像でどう再現するかにも注目したい。
『刺客篇』の放送日は決まっている?2026年11月3日現在、公式サイトでは制作スタッフとキャストが公開されている一方、放送開始日についての正式発表は確認できない。
集英社の公式告知ではTVアニメとして制作決定が発表されている。したがって、劇場版として制作されると決めつけるのも、具体的な放送時期を確定情報として扱うのも適切ではない。
現段階では、TVアニメ『刺客篇』の制作が進められており、公開・放送時期の続報が待たれる状態だ。
【プロの結論】チェンソーマンの作画は何を基準に評価すべきか
ここまでの比較から分かるのは、『チェンソーマン』の作画には一つの正解がないということだ。
TVシリーズ、劇場版、原作漫画は、それぞれ異なる方法で作品の魅力を表現している。
TVアニメ版の評判が分かれた本当の理由2022年のTVシリーズは、MAPPAの技術力を生かした写実的・映画的な映像表現が特徴だった。
一方で、一部の原作ファンからは、構図やテンポ、キャラクターの表情や声の演技が原作の印象と異なるという意見も出た。
マグミクスの2025年の分析でも、TVシリーズの評価が分かれた背景として、原作のアップ中心の構図とアニメの引きの構図、原作のコミカルな雰囲気とアニメのシリアスなトーンの違いが指摘されている。
反対に、Real Soundなどでは、実写映画的な映像表現や、原作にない日常描写を補完する演出が評価されている。
つまり、評価が分かれた原因は、必ずしも作画技術の不足ではない。
原作の魅力をどのような映像表現に変換するかという、演出方針の違いが大きかった。
どの作品が向いている?好みによる選び方| 見たいもの | おすすめ | 注目ポイント |
|---|---|---|
| 藤本タツキの線と構図 | 原作漫画 | コマ割り、余白、表情 |
| 写実的な映像と日常芝居 | TVアニメ版 | カメラワーク、生活描写 |
| 原作に近いキャラクター表現 | 劇場版『レゼ篇』 | 表情、髪色、仕草 |
| 大規模なアクション演出 | 劇場版『レゼ篇』 | 爆発、色彩、奥行き |
| 今後の作画の進化 | 『刺客篇』 | 2026年公開PVとスタッフ体制 |
原作の勢いやギャグを重視する人は漫画から入ると作品の魅力を理解しやすい。
一方、映画的な映像や写実的な日常描写を好む人にはTVシリーズが合いやすい。
キャラクターの細かな仕草や劇場ならではのアクションを楽しみたい人には『レゼ篇』がおすすめだ。
今後の映像表現の変化を追いたい人は、『刺客篇』の続報を確認するとよい。
【チェンソーマンの作画に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:チェンソーマンの原作漫画を描いているのは誰?
A1:原作者は藤本タツキ。大胆なコマ割り、ラフさを残した線、映画的な構図、余白を使った感情表現などが特徴だ。
Q2:チェンソーマンのアニメ制作会社はどこ?
A2:MAPPA。2022年のTVシリーズ、2025年公開の劇場版『レゼ篇』、制作決定済みの『刺客篇』を手がけている。
Q3:TVアニメと劇場版『レゼ篇』の作画は何が違う?
A3:TVシリーズは写実的・映画的な画面設計を重視した。一方、『レゼ篇』では原作の絵柄やコマ割りに立ち返り、劇場の横長画面を生かしたアクション表現を強化している。
Q4:『レゼ篇』のメインアニメーターは誰?
A4:庄一。公式スタッフ情報では、メインアニメーターとしてクレジットされている。アクションディレクターは重次創太だ。
Q5:『チェンソーマン 刺客篇』の監督は誰?
A5:𠮷原達矢。キャラクターデザインは杉山和隆、制作はMAPPA。2026年6月19日に最新ティザーPVが公開された。
Q6:『刺客篇』の放送開始日はいつ?
A6:2026年11月3日現在、公式の放送開始日は発表されていない。TVアニメとして制作が決定しており、今後の公式発表が待たれる。
『チェンソーマン』の作画の魅力は、藤本タツキの独創的な漫画表現とMAPPAの映像技術が、それぞれ異なる方向から作品の世界観を深めている点にある。
原作漫画では、大胆なコマ割り、線の強弱、余白を生かした感情表現が際立つ。TVシリーズでは中山竜監督による写実的な映像表現が採用され、劇場版『レゼ篇』では𠮷原達矢監督を中心とするチームが原作の絵柄に立ち返り、劇場ならではのアクションを実現した。
2026年には『レゼ篇』が興行収入100億円を突破し、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞も受賞。さらに『刺客篇』の最新ティザーPVが公開され、杉山和隆や庄一らが参加する新たな制作体制も明らかになっている。
これから作品を楽しむなら、作画の良し悪しを単純に順位付けするのではなく、原作の線、TV版のカメラワーク、劇場版のアクション、そして今後の『刺客篇』でどのような表現が生まれるのかを見比べてほしい。
『チェンソーマン』の作画は、絵を動かす技術だけでなく、キャラクターの感情や作品の空気感まで映像に変換する総合的な表現なのである。