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ヴィクトリアマイル2026追い切り徹底検証|最終時計・全頭診断と勝敗の分岐点

椿 花鈴 椿 花鈴 • 更新: • 公開: • 読了約 25 分
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2026年のヴィクトリアマイルは、5月17日に東京競馬場の芝1600メートルで開催された。注目を集めたのは、GⅠ3勝目を狙うエンブロイダリー、昨年の福島記念を制したニシノティアモ、前年2着のクイーンズウォーク、そして復活を目指すボンドガールなど、実績と個性を備えた牝馬18頭だ。

レース前の調教では、美浦ウッドで鋭い伸びを披露したエンブロイダリー、ラスト1ハロン11秒0を記録したニシノティアモ、栗東CWで10秒8をマークしたクイーンズウォークが注目された。最終追い切りでは各馬の調整方針にも違いが表れ、時計だけでは判断できない仕上がりの差が浮かび上がった。JRAとJRA-VANの公開情報、競馬専門メディアの調教データ、実際のレース結果を照合し、2026年の追い切りを振り返る。

【2026年版】ヴィクトリアマイル追い切りの全体像とレース結果

ヴィクトリアマイル追い切り

第21回ヴィクトリアマイルは、2026年5月17日(日曜)、東京競馬場で行われた。出走条件は4歳以上の牝馬による芝1600メートルのGⅠ。天候は晴れ、芝は良馬場だった。

単勝1番人気に支持されたエンブロイダリーが、C.ルメール騎手とのコンビで優勝。勝ち時計は1分30秒9だった。2着にはカムニャック、3着にはクイーンズウォークが入り、実績馬が上位を占めた。

JRAの公式レース回顧によると、1000メートル通過は57秒3。エリカエクスプレスが先行し、ニシノティアモも前方で流れに乗る展開だった。エンブロイダリーは好位で折り合い、直線で力強く抜け出した。

今回の調教分析で注目したいのは、追い切りで評価された馬が必ずしも同じ着順に並んだわけではない点だ。時計の優秀さと、東京芝1600メートルで能力を発揮できるかどうかは、分けて考える必要がある。

2026年ヴィクトリアマイルの上位結果
  • 1着:エンブロイダリー(1分30秒9)
  • 2着:カムニャック(1分31秒1)
  • 3着:クイーンズウォーク(1分31秒4)
  • 4着:エリカエクスプレス(1分31秒4)
  • 5着:ココナッツブラウン(1分31秒4)
  • 6着:ニシノティアモ(1分31秒5)

上位3頭はいずれも、レース前の調教過程で注目されていた馬だった。一方、好調教が伝えられたニシノティアモは6着。追い切りが優秀でも、展開や位置取りによって結果が変わることを示す一戦となった。

【最重要比較】1週前追い切りと最終追い切りの時計・コース

ヴィクトリアマイルの調教評価では、最終追い切りだけでなく、1週前追い切りとの組み合わせを見ることが大切だ。

1週前はレースに向けて負荷をかけ、心肺機能や筋力、反応を確認する段階。最終追い切りは、その負荷を踏まえて状態を整え、競馬当日に向けてコンディションを調節する段階という役割の違いがある。

エンブロイダリー|美浦Wの好時計が示した高い完成度

2026年の追い切りで最も注目したいのがエンブロイダリーだ。

JRA-VANの調教情報によると、5月6日の1週前追い切りでは美浦ウッドコースを使用。5ハロン65秒9、4ハロン50秒4、3ハロン35秒3、ラスト1ハロン11秒1を記録した。

ダノンクラウディアを追走し、直線で内から交わして先着。追い出されてからの反応が鋭く、ラスト400メートルでは11秒1-11秒1という持続力のあるラップを刻んだ。

最終追い切りは5月13日の美浦坂路。時計は次のとおり。

  • 4ハロン:53秒6
  • 3ハロン:38秒7
  • 2ハロン:24秒7
  • 1ハロン:12秒0

JRA-VANの評価では、僚馬との併せ馬で手応えに余裕を残し、ほぼ併入する内容だった。1週前にしっかり負荷をかけ、最終追い切りでは状態を維持する調整に切り替えた形だ。

この調整過程は、単純に最終時計を速くすることよりも、1週前に負荷をかけた後の状態維持を優先したものと読み取れる。

編集部評価:S

ニシノティアモ|美浦Wで終い11秒0、最終追い切りは余裕重視

ニシノティアモも調教内容が目立った一頭だ。

5月7日の1週前追い切りでは、津村明秀騎手が騎乗して美浦ウッドコースで調整。6ハロン82秒3、ラスト1ハロン11秒0を記録した。

カシオペアを追走し、直線でしっかり追われて力強く伸びた。上原佑紀調教師も、体重が増えて力強さが出てきたことや、余裕のある手応えで好時計を出したことを評価していた。

5月14日の最終追い切りも津村騎手が騎乗。ローズプリンセスとの併せ馬で、6ハロン85秒1、ラスト1ハロン11秒8を記録した。1週前に負荷をかけていたため、当週は調整を中心とした内容だった。

日刊スポーツの追い切り報道では、津村騎手が仕上がりについて次のようにコメントしている。

「本当にバッチリ仕上がっていい動きでした」

最終追い切りで無理に時計を詰めず、1週前の負荷を生かす調整だった点は評価できる。

編集部評価:A+

クイーンズウォーク|栗東CWの10秒8は大きなアピール材料

前年のヴィクトリアマイルで2着だったクイーンズウォークは、雪辱を期して参戦した。

1週前追い切りは栗東CW。西村淳也騎手が騎乗し、ページターナーを追走する形で負荷をかけた。

  • 6ハロン:82秒5
  • 5ハロン:67秒3
  • 4ハロン:51秒9
  • 3ハロン:36秒7
  • 1ハロン:10秒8

直線では追われてから鋭く反応し、併せ馬で先着。ラスト1ハロン10秒8は、今回の主要な追い切り時計の中でも特に目立つ数字だった。

最終追い切りは栗東坂路で56秒9-40秒8-26秒0-12秒7。時計を出すことよりも、状態を整えることに重点を置いた内容だ。

JRA-VANは、最終追い切りで促された際の反応にはやや物足りなさを指摘しながらも、調教量は十分で、力を出せる仕上がりと評価していた。

実戦では3着。前年の2着から着順を一つ落としたものの、上位争いに加わった。1週前の鋭い動きが示した能力の高さは、本番でも確認できた。

編集部評価:A

ボンドガール|美浦ウッドからポリトラックへ調整

ボンドガールは、1週前と最終追い切りで異なるコースを選択した。

1週前は美浦ウッドコースで4ハロン49秒4、3ハロン35秒9、ラスト1ハロン11秒5。最終追い切りは美浦ポリトラックで5ハロン67秒2、4ハロン52秒6、3ハロン38秒6、ラスト1ハロン11秒5だった。

最終追い切りでは強めに追われ、最後まで一定の脚を使った。数字の面では大きく崩れておらず、状態を整えることができていた。

一方、調教診断では力みや気持ちの入り方も確認材料となっていた。ボンドガールは能力だけでなく、リズムよく走れるかどうかが評価を左右するタイプだ。

結果は11着。調教で確認できた反応の良さを、実戦で十分に着順へ結びつけることはできなかった。

編集部評価:B+

【追い切り時計比較表】18頭の最終調教・1週前調教一覧

以下は2026年5月13日を中心とする最終追い切りと、1週前の調教時計をまとめたものだ。JRAの調教動画ページでは、調教タイム(自動計測を除く)の提供元として競馬ブックが記載されている。以下の数値は競馬専門メディアの公開調教データも参照して整理した。

時計の表記はコースごとに異なる。坂路は主に4ハロンから1ハロン、ウッドやCWは6ハロンから1ハロンまでを示している。全体時計の単純比較ではなく、同じコースの馬場状態や追い方も考慮したい。

馬名 最終追い切り 1週前追い切り 参考評価
エンブロイダリー 美浦坂路 53.6-38.7-24.7-12.0 美浦W 65.9-50.4-35.3-11.1 S
ニシノティアモ 美浦W 68.0-52.6-37.9-11.8 美浦W 82.3-66.2-51.2-36.6-11.0 A
クイーンズウォーク 栗東坂路 56.9-40.8-26.0-12.7 栗東CW 82.5-67.3-51.9-36.7-10.8 A
ボンドガール 美浦PT 67.2-52.6-38.6-11.5 美浦W 49.4-35.9-11.5 A
カムニャック 栗東坂路 56.0-40.5-25.4-12.1 栗東CW 80.6-65.8-51.4-36.9-11.3 B
エリカエクスプレス 栗東坂路 53.7-38.4-24.7-12.1 栗東CW 80.9-65.0-50.6-36.1-11.1 B
カナテープ 美浦W 81.7-65.4-50.4-36.1-11.6 美浦W 66.4-51.5-36.6-11.3 B
カピリナ 美浦W 78.9-62.8-48.9-35.6-11.3 美浦W 82.2-66.4-51.3-37.0-11.4 B
ココナッツブラウン 栗東坂路 54.9-40.0-12.8 栗東CW 82.4-66.8-51.9-37.0-11.3 B
ドロップオブライト 栗東坂路 53.1-39.2-24.8-12.2 栗東CW 83.8-67.5-52.2-36.9-11.0 B
ラヴァンダ 栗東坂路 53.3-37.8-24.3-12.0 栗東CW 83.5-68.1-53.0-37.2-11.3 B
マピュース 美浦W 67.2-52.0-37.1-11.8 美浦W 78.6-62.9-49.4-36.3-11.5 S
アイサンサン 栗東坂路 53.8-38.3-12.2 栗東坂路 52.2-37.0-12.0 A
チェルヴィニア 美浦W 66.9-52.1-37.6-11.3 美浦W 93.0-77.8-63.4-49.5-36.3-11.6 A
ジョスラン 美浦W 83.4-68.3-53.6-38.7-11.6 美浦W 83.8-67.6-53.1-37.8-11.4 C
パラディレーヌ 栗東坂路 57.3-39.6-25.1-12.3 栗東坂路 55.8-40.5-26.3-13.0 C
ケリフレッドアスク 栗東坂路 53.6-38.4-12.5 栗東坂路 54.3-39.1-12.5 C
ワイドラトゥール 栗東坂路 53.7-38.5-12.7 個別時計の掲載なし C

注:参考評価は専門メディア「うましる」の独自評価を参考にしたもので、JRA公式の格付けではない。時計は各コースの計測区間に従って記載している。最終追い切りの日付が異なる馬も含む。

調教評価が分かれた理由

興味深いのは、評価の高い馬が媒体によって異なっていた点だ。

例えば、うましるの全頭診断ではマピュースがS評価となり、エンブロイダリーやニシノティアモなどがA評価だった。一方、スポーティングニュースの調教診断ではエンブロイダリーがS評価となっている。

これは必ずしもどちらかの評価が誤っているという意味ではない。調教評価は、時計だけでなく、フォーム、反応、負荷、過去の調教との比較など、評価者が何を重視するかによって変わる。

したがって、SやAといったアルファベットだけで判断するのではなく、評価の根拠となった動きと時計を確認することが重要だ。

【美浦ウッド・栗東CW・坂路】調教コース別に見る仕上がりの違い

ヴィクトリアマイルの追い切り情報を読み解くには、美浦ウッド、栗東CW、坂路調教の役割を理解しておきたい。

美浦ウッド追い切り|持続力と加速の質を確認

美浦ウッドは、長めの距離を走りながらスピードの持続性や直線での反応を確認できるコースだ。

エンブロイダリーは1週前に5ハロン65秒9、ラスト1ハロン11秒1を記録。ニシノティアモも6ハロン82秒3から11秒0という時計を出していた。

両馬に共通するのは、終いの速さだけでなく、追われてからしっかり反応した点だ。東京競馬場の長い直線を意識するうえでも、持続的な加速は注目したい材料となる。

栗東CW追い切り|負荷をかけた後の反応がポイント

栗東CWではクイーンズウォークが目立つ動きを見せた。

1週前のラスト1ハロン10秒8は、追い切りの中でも特に印象的な時計だった。併せ馬で先着したことも、追われてからの反応を確認する材料になった。

ただし、CWで速い時計が出たからといって、そのままレースで同じ脚を使えるわけではない。負荷をかけた後に疲れを残していないか、最終追い切りで動きが硬くなっていないかも確認したい。

坂路調教タイム|全体時計とラスト1ハロンのバランス

坂路は主に4ハロンの全体時計と、最後の1ハロンのラップを確認する。

エンブロイダリーは最終追い切りで53秒6-38秒7-24秒7-12秒0。クイーンズウォークは56秒9-40秒8-26秒0-12秒7だった。

数字だけを並べるとエンブロイダリーの方が速い。しかし、クイーンズウォークは1週前のCWで強い負荷をかけていたため、最終追い切りで時計を抑えることには調整上の意味があった。

重要なのは、最終追い切りで最速時計を出すことではなく、予定していた調整を終えてレースに向かえるかどうかだ。

【全頭診断】追い切りから見えた18頭の注目ポイント

ここでは2026年の出走馬18頭について、追い切りの内容とレース結果を照らし合わせる。評価は調教内容を整理するための参考であり、能力や着順を直接保証するものではない。

上位評価グループ

エンブロイダリー:1週前の美浦Wで終い11秒1を連続して記録。最終追い切りは坂路で余裕を残した。実戦でも好位から抜け出して優勝し、調教で示した完成度を結果につなげた。

ニシノティアモ:1週前の美浦Wで終い11秒0。最終追い切りは津村騎手が騎乗して併せ馬を消化した。状態面の評価は高かったが、本番は6着。先行して流れに乗ったものの、最後まで勝ち負けに加わるには至らなかった。

クイーンズウォーク:栗東CWの終い10秒8が大きな見どころ。最終追い切りを軽めにまとめた調整も理にかなっていた。レースでは3着となり、安定した実力を示した。

マピュース:1週前の美浦Wで6ハロン78秒6という優秀な全体時計を記録。最終追い切りも馬なりでまとめ、調教評価では高い評価を受けた。ただし本番は9着。時計の優秀さとGⅠでの実戦適性には別の判断が必要だった。

状態の良さを示したグループ

ボンドガール:美浦Wからポリトラックへ切り替えた調整。最終追い切りは5ハロン67秒2、ラスト11秒5。動き自体は悪くなかったが、実戦では11着に終わった。

チェルヴィニア:1週前に美浦Wで長めから負荷をかけ、最終追い切りもウッドで併せ馬を消化。最終の5ハロン66秒9、ラスト11秒3は一定の水準を示した。ただし実戦は16着。能力と調教内容だけでは復活を保証できない難しさが表れた。

カムニャック:栗東CWで長めから追われ、最終追い切りは坂路で軽め。調整量を確保して本番に臨み、2着に好走した。勝ち馬との差は1馬身4分の1だった。

エリカエクスプレス:1週前の栗東CWで6ハロン80秒9、ラスト11秒1。最終追い切りは坂路で53秒7-38秒4-12秒1だった。レースでは先手を取り、最後まで粘って4着。調教の良さと先行力を実戦でも示した。

ココナッツブラウン:栗東CWで1週前に82秒4-11秒3を記録。最終追い切りは坂路で54秒9-40秒0-12秒8と軽めだった。レースでは5着に入り、追い切りの派手さ以上に実戦での末脚が光った。

アイサンサン:栗東坂路で1週前に52秒2、最終追い切りに53秒8を記録。最終では馬なりでリズムを保った。結果は13着だった。

カピリナ:美浦Wで最終追い切りに6ハロン78秒9、ラスト11秒3。1週前から時計を詰めた点は好材料だったが、実戦では17着となった。

仕上がりや条件面に課題が残ったグループ

カナテープ:美浦Wで最終追い切りを消化。全体時計は81秒7、ラスト11秒6だった。併せ馬で遅れたものの、持続的な脚は使えていた。結果は10着。

ジョスラン:美浦Wで2週続けて併せ馬を行った。最終追い切りは83秒4-68秒3-53秒6-38秒7-11秒6。休み明けの調整過程が注目されたが、結果は8着だった。

パラディレーヌ:栗東坂路で最終追い切り57秒3-39秒6-25秒1-12秒3。時計を強調できる内容ではなく、最終段階での動きも評価が分かれた。結果は12着。

ケリフレッドアスク:栗東坂路で最終追い切り53秒6-38秒4-12秒5。強めに追われたが、最後の伸びには改善の余地が見られた。結果は14着。

ラヴァンダ:栗東CWの1週前追い切りは83秒5-11秒3。最終追い切りは坂路で53秒3-37秒8-12秒0。大きな不安はない一方、抜群の上昇材料までは確認しづらかった。結果は7着。

ドロップオブライト:栗東CWで1週前に83秒8-11秒0を記録し、併せ馬で先着。最終追い切りも坂路で53秒1-39秒2-12秒2とまとめた。調子の良さは感じられたが、実戦では18着となった。

ワイドラトゥール:最終追い切りは栗東坂路で53秒7-38秒5-12秒7。中1週での参戦だったため、追い切りの本数や負荷を含めた慎重な評価が必要だった。結果は15着。

【プロの結論】併せ馬の先着・遅れと追い切り時計はどう判断するべきか

2026年のヴィクトリアマイルを振り返ると、追い切り評価で特に重視したいポイントが三つある。

1.併せ馬の先着だけで評価を決めない

追い切りで併せ馬に先着したか、遅れたかは、調教評価の一要素にすぎない。

例えばエンブロイダリーは1週前に力強く先着した一方、最終追い切りはJRA-VANの記述でほぼ併入という内容だった。これを単純に「最終追い切りで伸びなかった」と判断するのは適切ではない。

1週前にしっかり負荷をかけていれば、最終追い切りで余力を残すことにも意味がある。

また、併せ馬の相手が格上か格下か、相手の追い方が強めか馬なりかによっても評価は変わる。先着という結果だけでなく、どのような条件で先着したのかを確認したい。

2.追い切り時計は馬場差を考慮する

美浦ウッドと栗東CWでは、馬場状態や計測方法が異なる。坂路とウッドの時計も、そのまま横並びにすることはできない。

JRA-VANの井内利彰氏による5月13日の調教分析では、美浦坂路は基準時計より時計が出やすく、美浦ウッドも比較的速い馬場と判断されていた。一方、栗東CWは基準よりやや時計がかかる状態だった。

つまり、同じ11秒0でも、走ったコースと当日の馬場状態によって意味合いは変わる。

時計を評価するときは、次の順序で確認したい。

  • コースと当日の馬場状態
  • 全体時計とラスト1ハロンの組み合わせ
  • 馬なり・強め・一杯などの追い方
  • 併せ馬の相手と先着・併入・遅れの内容
  • 前走時や過去の好走時との比較
3.最終追い切りが軽いことは必ずしもマイナスではない

最終追い切りで時計が遅いと、調子が悪いのではないかと考える人もいる。しかし、1週前に十分な負荷をかけた馬なら、最終追い切りを軽くすることは自然な調整方法だ。

クイーンズウォークは1週前にCWでラスト10秒8を記録し、最終追い切りでは坂路で56秒9にとどめた。それでも本番は3着に入っている。

一方、最終追い切りだけを見て好調と判断した馬が、本番で結果を出せなかったケースもある。

ここから分かるのは、追い切り時計は競走能力そのものではなく、レースに向けた準備の状態を測る材料だということだ。

JRA・JRA-VANの情報を使い分ける

調教情報を確認する際は、JRAの公式資料とJRA-VANの分析を組み合わせると理解しやすい。

  • JRA:出走馬、公式調教動画、レース結果、開催情報などの一次資料を確認する。
  • JRA-VAN:調教時計、調整過程、併せ馬の内容、専門家による調教評価を確認する。
  • 競馬専門メディア:騎手や調教師のコメント、追い切り当日の取材情報を補足する。

とくに動画は重要だ。数字では分からない首の使い方、四肢の動き、手前の替え方、騎手の手応えなどを確認できる。

時計が速い馬を探すだけでなく、なぜその時計になったのかを読み解くことが、調教情報を生かすための基本となる。

【FAQ】ヴィクトリアマイルの追い切りに関するよくある質問

Q1:2026年のヴィクトリアマイルで最も評価できる追い切りを見せた馬は?
A1:総合的にはエンブロイダリーを高く評価したい。1週前の美浦Wで5ハロン65秒9、ラスト11秒1を記録し、最終追い切りも坂路で余裕を残した。実戦でも優勝し、調教内容と結果が結びついた。

Q2:クイーンズウォークの最終追い切り時計は?
A2:2026年5月13日の栗東坂路で56秒9-40秒8-26秒0-12秒7を記録した。1週前の栗東CWでは82秒5-67秒3-51秒9-36秒7-10秒8という好時計を出している。

Q3:ニシノティアモの追い切り時計と評価は?
A3:1週前の美浦Wで6ハロン82秒3、ラスト1ハロン11秒0を記録。最終追い切りは6ハロン85秒1、ラスト11秒8で、調整を重視した内容だった。仕上がりは高く評価されたが、本番の着順は6着だった。

Q4:ボンドガールの最終追い切りはどのコースだった?
A4:美浦ポリトラックコース。5ハロン67秒2、4ハロン52秒6、3ハロン38秒6、ラスト1ハロン11秒5を記録した。

Q5:坂路調教タイムは何秒なら好調と判断できる?
A5:一律の基準はない。全体時計だけでなく、当日の馬場差、ラスト1ハロンの伸び、追い方、過去の自己時計との比較が必要だ。馬なりで余力を残した時計と、一杯に追われて出した時計も区別したい。

Q6:併せ馬で遅れた馬は評価を下げるべき?
A6:必ずしもそうではない。相手の能力や追い方、馬自身の手応え、追い切りの目的を確認する必要がある。1週前に強い負荷をかけ、最終追い切りで余力を残すケースもある。

2026年のヴィクトリアマイルでは、エンブロイダリーが1分30秒9で優勝。1週前の美浦ウッドで見せた鋭い加速力と、最終追い切りでの余裕ある動きが、実戦での完成度につながった。

ニシノティアモは美浦Wでラスト11秒0、クイーンズウォークは栗東CWで10秒8を記録。ボンドガールもポリトラックで終い11秒5と、それぞれ異なる調整過程を見せた。

今回の検証から得られる重要な教訓は、追い切り時計の速さだけで馬の状態を判断しないことだ。

  • 1週前:十分な負荷をかけて反応や持続力を確認する。
  • 最終追い切り:疲労を残さず、予定した状態に仕上がっているかを確認する。
  • 併せ馬:先着・遅れだけでなく、相手と追い方を含めて判断する。
  • コース:美浦W、栗東CW、坂路の馬場差を考慮する。
  • 実戦との比較:位置取り、展開、馬場、レース適性も合わせて検証する。

ヴィクトリアマイルの調教分析で本当に見るべきなのは、最速時計を出した馬ではなく、レースに向けて必要な負荷を消化し、最終段階で適切な状態に整えられた馬だ。2026年のエンブロイダリーの勝利は、その見極め方を考えるうえで象徴的な事例となった。

主な照合資料: JRA公式レース結果・出走馬情報・調教動画、JRA-VAN調教情報・井内利彰氏の調教分析、日刊スポーツの追い切り取材、競馬専門メディアの全頭診断。

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